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24年の国内データセンター市場は4兆180億円へ 29年に向け年平均6%拡大か──富士キメラ総研調査

 富士キメラ総研は、メガクラウドベンダーのデータセンター需要増加を背景とする、新設計画数の増加やデータセンター1拠点あたりの開発規模の大規模化のほか、一般企業を中心とした生成AIへの投資増加でGPUサーバーに関連したニーズが高まっている国内のデータセンター市場を調査し、「データセンタービジネス市場調査総覧 2025年版 市場編」として発表した。

データセンターサービスの国内市場

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 2024年の市場は4兆180億円が見込まれるという。2029年に向けて年平均6%ほどの拡大が予測され、規模の大きいIaaS/PaaSが市場拡大をけん引することで、国内IT関連サービスの中でも高い伸びが予想されると同社は述べる。

 サービス提供者がサーバーを提供するホスティング(基本)は一時低迷していたが、GPUホスティングサービスの利用増加を背景に伸長。サーバーを保有せずに計算能力を利用できるため、PoC(概念実証)向けでの活用が見られる結果に。また、GPUホスティングサービスの提供を開始する新規参入ベンダーも増えており、今後も伸長が予想されるとしている。

 一方、サーバー提供企業がアプリケーションの運用まで行うホスティング(アウトソーシング)は、企業が新規システムを構築する際、クラウドサービスの導入が一般的となっているため減少。IaaS/PaaSは、IaaS/PaaSベースの新規システム開発が多いことから伸長が予想されるという。自国内の事業者が運営し、セキュリティ面や他国の法令などの影響を受けずデータ主権を担保しながらクラウド利用ができるソブリンクラウドの提供も進むと見られ、ITシステム基盤としてのクラウドサービスのデファクトスタンダード化やガバメントクラウドとしての利用増加によって、伸びが予想されるとのことだ。

 ハウジングは、クラウドサービスの企業利用が進む中、データの安全性を高めるため、不特定多数のユーザーが利用するインターネットとは別に関係者のみが接続できる閉域接続を目的とした需要が増加中。また、都心や大阪都市部を中心に、IaaS/PaaS上ではなく、独自のAI関連システムを構築しハウジングを利用する動きも見られるという。クラウドサービスの利用や独自のAI関連システム構築が増加することで、今後も伸長すると見られるとしている。

 通信回線サービスは、新設データセンターの増加にともない、データセンター間やユーザー拠点とデータセンター間で利用が増加。2026年にデータセンターの新設ピークが予想されるものの、稼働量は増えるため2029年に向けて伸びが予想されるという。共同利用は、証券や銀行など金融業や公共団体向けの特定アプリケーションを、特定企業・団体が共同で利用するサービスを対象にしている。

 証券向けでは、従来の証券業務に関するシステムを共通化することで、新たな用途に向けたIT投資の最適化を図っており、利用が増加中。一方、銀行向けは、既に勘定系システムの共同利用化が進んでいるほか、銀行の統廃合を背景に縮小しているという。公共団体向けも、各自治体のサーバー導入運用コスト削減やシステムの標準化/共通化などを目的に、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行しており、今後は縮小が予想されるとのことだ。

データセンターの総床面積

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 2024年の総床面積は、特に1万5000平方メートルを超えるメガクラウドベンダー向けのハイパースケールデータセンターの新設が進み、前年度比6.1%増の461万8610平方メートルが見込まれるという。主要データセンター事業者やユーザー企業の拠点が多い関東が、全体の約63%を占めると見られると同社は述べる。

 データセンター新設は、2026年から2028年頃がピークと予想されるという。地域別では、最大需要家であるメガクラウドベンダー向けのハイパースケールデータセンターが計画される関東や関西が伸びをけん引すると見られるとしている。

 一方、その他地域でも伸長が期待されるという。2025年以降、ソフトバンクが北海道でデータセンター新設を予定しているほか、メガクラウドベンダーの中には広島県や和歌山県でデータセンター開発を進めるケースも見られるという。

GPUサーバー(データセンター向け)

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 GPU(画像処理半導体)を搭載したサーバー設備は従来、3Dグラフィック描写のための計算処理に利用されていたが、近年は科学技術研究やAI分野などの膨大な並列演算処理にも利用され、需要が急増しているという。

 大手クラウド事業者や、大学などの教育・研究機関、AI関連ビジネスを行うIT企業が、数十台以上の規模で導入。2024年の市場は、2023年に引き続き、AI・生成AIの開発や活用を目的とした大規模導入が進み、市場は拡大するという。経済産業省による、経済安全保障推進法に基づいたAI開発に必要な計算資源の整備に対する助成もプラスに働いているとのことだ。

 今後も引き続きAI・生成AIの活用を目的とする引き合いが増え、2029年の市場は2023年比15.6倍が予測されるという。ただし、1台当たり数千万円以上する製品もあるほか、冷却設備をはじめとした高額な設備維持費などもかかるため、国内での本格的な普及には時間を要し、伸びは緩やかになると予想されるとしている。

液冷関連製品(冷却塔、リアドア型/InRow空調、CDU)

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 データセンター用の冷却塔やサーバーラックを囲い近距離から送風するリアドア型空調機、ラックの側面に空調機を設置するInRow型空調機、冷水をシステム全体に分配するCDUを対象とする。

 高い負荷がかかり高発熱であるGPUサーバーを運用するため、データセンター側では空冷で対応するケースが多いものの、より高効率で冷却できる液冷(DLC方式、リアドア)対応が進んでいるため、2024年の市場は前年比57.1%増が見込まれるという。

 生成AIの普及で、GPUサーバーを始めとする高性能なIT機器の需要が増していることやCPU、GPUの高機能化にともない、データセンターでの発熱量が急速に増加。したがって、今後は、空冷方式より高い効率で冷却できる液冷方式の普及が加速すると見られ、市場拡大が予想されると同社は述べている。

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