ソフトウェア開発に訪れる“豊穣の時代”、自律型開発「Devin」はClaude Codeと何が違う?
Cognition AI 共同創業者 ラッセル・カプラン氏/日本法人 代表 正井拓己氏
でも結局、Claude Codeとは何が違うの?
Devinが2024年に登場した際には衝撃だったが、今ではClaude CodeやCursor、GitHub Copilotなど、AIコーディングの手段は様々だ。日本でも、何かと話題としてよく持ち上がるのはClaude Codeかもしれない。
では、Devinの優位性・独自性とは何なのか。それは、そもそもの設計思想だ。Claude Codeはローカルのターミナルで動くエージェント型CLIツールであるのに対し、Devinは専用のWebブラウザや仮想環境で動く「自律型ソフトウェアエンジニア」というポジションをとっている。ユーザーのローカルマシンを占有せず、多くのワークロードを並列で実行できるという。また、個人向けのツールとしてだけでなく、会社の基幹システムに組み込まれ、JiraやSlack、GitHubと連携し、場合によってはプロアクティブに作業を完遂できる点も特徴だとカプラン氏は述べた。
……とはいえ、その独自性もいずれコモディティ化していくのでは?
昨今のAIコーディングの進化スピードを見ていると、筆者としてはそんな疑問も湧いてきてしまう。もちろん、ClaudeやGitHubは、まだCognitionと完全な競合というわけではないのだが……。これについてカプラン氏に見解を尋ねてみたところ、同氏は「重要なのは“今どこにいるか”ではなく、『常に最先端を押し広げていくこと』だ」という考えを示した。
「Devinをリリースした際(2024年)に世間を驚かせた機能のいくつかは、既にAIコーディングの世界では一般的なものとなっています。しかし、“今”私たちが出している新しい機能は、最先端を走っています」(カプラン氏)
過去に出した機能では、コモディティ化は既に始まっている。しかし、それは当たり前のことであり、注視すべきことではない。重要なのは、常に進化を続けているかどうかだ。その進化が最先端を走っているものであれば、何ら問題はない。これが同氏の見解だ。たしかに、これはあらゆる技術分野において言えることだろう。
「優れたAIモデルを開発・提供できる企業は世界にわずかしか存在しないかもしれません。そのモデル間の性能差や優位は常に変動し、入れ替わっていますよね。しかし、Devinのようなエージェントの場合は、それらのモデルを各タスクに最適な形で組み合わせて使うことを想定しています。ですから単一のモデルに左右されず、より高い能力を発揮できます。このアプローチで常にイノベーションを続け、独自性を確立できます」(カプラン氏)
そんなCognitionが次に目指す進化とは。一つは、「受動的」から「能動的」なエンジニアリングへの移行だ。指示を待つのではなく、チームの一員として自律的にエージェントが動く世界を実現するという。
そしてもう一つは、コードを超越した“真のソース(Source of Truth)”への移行だとカプラン氏。日本語や英語で書かれた仕様書そのものをバージョン管理システムにチェックインさせ、それがエージェントによってコードにコンパイルされる世界だ。「人間が読む仕様書が最終的なソースになる。この世界が次のフロンティアだ」と同氏は展望を共有してくれた。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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