一部のもの好きに支持されているのをいいことに、好き勝手おちゃらけ続けてきた本連載だが、ついに命運尽きて今回が最終回! 連載開始当初は、早々に日立のお偉いさんに怒られて連載打ち切り => 日立を出入り禁止 => IT業界から追放! という転落人生も覚悟していたのに、結局は13回も続いてしまったのだから、日立の方々や読者の皆さんの寛大さには感謝感激雨あられでございます。最終回となる今回は、あらためて原点に戻って、日立のデータベースがなぜミッションクリティカル分野で支持され続けているのか、その秘訣に迫ってみたい。それも、単に製品の特徴をあれこれ紹介するだけじゃつまらないので、「人」に焦点を当ててみたいなと。何でも日立のデータベース部隊には、「ゴッドハンド」やら「ニュータイプ」、「キング」といった怪しげなニックネームの人たちがウヨウヨしているらしいので……。
「神の手を持つ男」ついに登場!
本連載ではこれまで、日立のデータベースにかかわるさまざまな方々にご登場いただいたが、最終回となる今回はついに、「ゴッドハンド」なるニックネームを持つラスボスの登場だ。これに加え、「キング」と「ニュータイプ」という強力キャラまで登場して、プレイヤーの行く手を阻む。無事、姫を救出してハッピーエンドを迎えるためには、これら濃ゆーいキャラを倒して前進する以外にないのだ。ゆけ!

「ちょうど今かかわっているシステムは、1秒間に2万5000回のSQLという高トラフィックをさばかなくてはいけないんです」
おっと、出たなゴッドハンド! ボスキャラにしては、やけに穏やかで温厚なお人柄である。ところで1秒間に2万5000のSQLってどういうことでしょうか。
「日本国内でも10指に入るぐらいの超ミッションクリティカル・高トラフィックシステムのプロジェクトに、HiRDBのテクニカルサービスとして技術支援を提供しています。このシステムでは、HiRDBのログの件数も一日に数億~10億件と、かなりの数になりますね」
……半端ない。このゴッドハンドこと、中尾淳一さんは日立のソフトウェア開発本部 DB設計部で、HiRDBのテクニカルサービスを担当するカリスマデータベース技術者だ。テクニカルサービスというと、一見トラブルシュートを請け負うサポートサービス担当のようにも見えるが、それだけではなくてシステムの設計から構築、運用に至る、プロジェクトにすべてのフェースにおいて技術支援を提供するのだという。
とここで、ニュータイプこと脇坂彰人さんがフォローに入る。
「多数のシステムと連携し、極端に高い負荷が掛かるシステムでは、問題の原因として考えられる要素が多岐にわたるので、切り分けがとても難しいんです。でも中尾さんがHiRDBのトレースを見ると、HiRDBの問題はもちろんのこと、時にはアプリケーションやOSの問題まで突き止めてくれる。まるでレントゲン写真から、一発で病巣を見抜くことができる名医のようです」

なるほど、確かにゴッドハンドと呼ばれるわけだ。事実、つい最近も、HiRDBのログを手がかりにOSの問題を突き止めたそうで。もちろん、HiRDBそのもののトラブルシュートやチューニングに関しては日立社内でも随一、ということは日本一ってこと?
「例えば、IO性能向上を狙ってDBバッファの容量を増やすチューニングはよく行われますけど、必ずしもすべてのケースでそれが有効とは限らないんです。バッファに関する統計情報を見ると、バッファサイズを増やすよりも、バッファを分割して負荷分散した方が良いとか、SQLの実行計画が悪いためSQLチューニングした方が良いとかが分かります。この前は、バッファ間のアクセス頻度の偏りから、テーブルの分割定義が誤っていることを突き止めました。」(中尾さん)
そんな細かいとこまで突き詰めてやるんですね。もちろん、こんだけカリカリのチューニングが必要なケースはごく一部だそうだが、ここまでやるにはやはりデータベースの細かい内部処理について知ってないといけない。そういう意味だと、自社で一から開発して、内部を隅々まで知り尽くしているデータベース製品を持っているというのは、やはりいざというときに大きなアドバンテージになるんでしょうね。
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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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