SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

週刊DBオンライン 谷川耕一

Googleに買収されるLookerが日本で本格的にビジネスを始動

 Googleに買収されることが明らかになり、日本でもその名が知られるようになったLooker。Lookerはクラウド型のBIソリューションを展開するベンダーで、Googleのクラウドサービスの1つでデータウェアハウス用途に利用されるBigQueryなどのデータベースと連携させて利用するものだ。Lookerの大きな特長が、Lookerの中にはデータを持たないことだ。

SaaSから提供するAPIでデータを持たずにBI機能を提供する

Looker Data Science バイスプレジデント ジャパンカントリーマネージャーの小澤正治氏
Looker Data Science バイスプレジデント ジャパンカントリーマネージャー
小澤正治氏

 Lookerの日本法人がビジネスを開始したのは2018年9月のこと、「これまでの10ヶ月はステルスモードでやってきましたが、これからがグランドオープンです」と語るのは、Looker Data Science バイスプレジデント ジャパンカントリーマネージャーの小澤正治氏だ。ステルスモードの間に、日本の20社ほどにLookerは導入されている。Lookerを導入する企業の傾向としては、Eコマースやマーケットプレイス、デジタルマーケティング関連など、膨大なデータを抱えそれがどんどん増えているような企業となる。

 Lookerのアーキテクチャは、まずはさまざまなSaaSのアプリケーションや企業が運用している各種データベースなどのデータソースから、クラウド上のGoogle BigQuery、Snowflake、Amazon Web Servicesといったデータウェアハウスにデータを集める。このデータウェアハウスを構築するところは、特段Lookerの機能が関わるところではない。できあがったデータウェアハウスのデータに、SaaSで提供されるLookerのAPIでアクセスする。LookerではBIのダッシュボードなどもSaaSで提供しており、それらからAPI経由でデータウェアハウスにアクセスしデータの可視化や分析を行うのだ。

 LookerのAPIでアクセスするデータベースは、前述のようなクラウド上のデータウェアハウスのサービスだけではない。オンプレミスのOracleやSQL Serverなどのデータベースでももちろん構わない。同時に複数のデータベースをアクセス対象にでき、それらにはJDBC経由のSQLで接続しデータ検索などを行うことになる。複数のデータベースから得られた結果データはLookerの上で統合し、分析、ビジュアル化することが可能だ。またLookerからデータベースにアクセスする際には、ユーザーがSQLを記述しなければならないわけではない。LookerのLooKMLというモデリング言語を使うことで、SQLを抽象化してデータウェアハウスにアクセスできる。

 またLookerのAPIを利用して、既存のアプリケーションの中にLookerのデータ分析機能を組み込むこともできる。BIツールだけだと、データアナリストなどデータ分析の専門家しかなかなか使いこなせない。現状では、アナリティクスの民主化なども叫ばれ、ユーザーフレンドリーなBIツールを提供してユーザー層を広げる動きはある。しかしながら実際には誰でもそれを使いこなせるわけではなく、ある程度のデータ分析のリテラシーがなければ全ての従業員がデータ分析を使いこなすまでには至らない。対してLookerでは、APIを使って「普段使っているアプリケーション」の中にアナリティクスの機能を埋め込むことができる。この機能があることで、真に「誰でもデータを活用できるようになる」と語るのは、Lookerのチーフ・プロダクト・オフィサーであるニック・コールドウェル氏だ。

Looker Data Science バイスプレジデント ジャパンカントリーマネージャーの小澤正治氏
Looker チーフ・プロダクト・オフィサー 
ニック・コールドウェル氏

 Lookerのビジネスは順調に伸びており、グローバルの顧客数は1,700を越えている。そのうちの1/3は、Lookerの機能をアプリケーションなどに組み込む形で利用している。BIツールを使いやすくして全社員に配るのではなく、普段使われているアプリケーションの中に組み込めるようにする。このLookerのユニークなアプローチは、確かに企業におけるデータ分析の民主化につながるだろう。

次のページ
Googleに買収されてもマルチクラウド対応は変わらない

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/12264 2019/07/17 07:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング