2017年のイーサネットスイッチ市場は17.7%の大幅増加だがポート単価下落も
製品分野別に見ると、データセンター向けイーサネットスイッチ市場は、2017年にパブリッククラウドサービス向けや企業の更改需要によって、前年比17.7%の大きな成長を達成した。今後も、パブリッククラウドサービス事業者を始めとするハイエンドデータセンター事業者によるデータセンター拡充を受けて、イーサネットスイッチ需要は旺盛であるとみている。
一方で、100Gbイーサネットを始めとする今後の主要速度/技術におけるポート単価の下落も著しく、市場規模の拡大は抑制され2017年~2022年のCAGRはマイナス1.8%と予測している。
2017年のADC市場は、前年を大きく下回った。2017年の前年比成長率はマイナス17.1%で、市場規模も203億円と2010年以降で最も低い市場規模に終わった。
ADC製品の性能向上に伴って、一般企業を中心に購入単価が低下していることや、パブリッククラウドサービスが提供するサーバー負荷分散機能の利用によって、現在定義するADC市場の外へ需要が流出していることが、市場の低調さにつながっている。今後もこうした傾向は続き、国内ADC市場は2017年~2022年のCAGR 0.5%とほぼ横ばいと予測している。
ベンダー別ではシスコシステムズとアリスタネットワークスがシェア拡大
また、データセンター向けイーサネットスイッチ市場のベンダー動向を見ると、市場の成長と共に大きく売上を伸ばしたベンダーと、モメンタムを失ったベンダーとで明暗が分かれた。
同市場をリードし続けているシスコシステムズは、大企業を中心とする広い顧客基盤を生かして売上、シェア共に伸ばした。また、急速な成長を続けるアリスタネットワークスは、2017年にはついに国内第2位にまで浮上した。クラウド事業者や大規模Webサービス提供事業者を中心に、汎用性/オープン性とベンダー製品としての信頼感の両立といった側面で支持されているとIDCではみている。
企業のパブリッククラウド活用が進む中で、データセンター向けネットワーク機器市場においても、メガクラウド事業者の影響力が強まっている。需要家としての価格決定力だけでなく、データセンターネットワーク技術の牽引役としての力も高まっている。
IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーである草野賢一氏は、「データセンター向けネットワーク機器ベンダーは、クラウドシフトとメガクラウド事業者の影響力拡大に即した製品戦略、技術戦略に転換すべきである。また、データセンターネットワークの技術的ヘゲモニー争いにおいても、ライバルはメガクラウド事業者であるという意識の下に、主導権維持に努めるべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内データセンター向けネットワーク機器市場予測、2018年~2022年」および「国内データセンター向けネットワーク機器市場シェア、2017年:明暗が分かれたイーサネットスイッチ市場」にその詳細が報告されている。