住友ベークライトは、6月16日、日本電気(NEC)と生産技術のデジタル化に向けて共創し、製造工程の自律制御を実現したと発表した。
今回の、住友ベークライトとNECの共創では、製造工程にAI、IoTなどの最先端テクノロジーを導入。静岡工場など国内主力4工場内の装置の稼働状況などをIoTによって可視化するとともに、AIが各工程の制御ルールを分析することで、これまでは難しかった機能性化学品のバッチ連続型生産ラインにおけるデジタル化を実現している。
具体的には、特定ベンダーにとらわれない、オープンで自由なものづくりを支援する「Edgecrossコンソーシアム」が普及推進するエッジコンピューティング領域のソフトウェアプラットフォーム「Edgecross」を活用。これにより、異なる装置メーカの出力情報について、通信規格の差異を吸収し、複数種類のデータを工場全体で分析できる環境を構築した。
製造工程各所に取り付けたセンサーを通じて、装置の稼働情報、品質に係る評価情報などを収集し、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「インバリアント分析技術」を用いて分析。リアルタイムに得られる計測データからいつもと違う異常を発見し、その違いを数値化している。
さらに、運用上規定されている装置の制御ルールに加えて、AIを活用することで、熟練技術者の経験に裏打ちされていた装置制御に関する暗黙知を制御ルールとして見える化して登録した。製造工程の自律制御と品質の安定化・向上に貢献する。
なお、これらの取り組みによって住友ベークライトは国内基幹工場の主力生産ラインで、デジタル化による生産効率20%向上を実現。国内の他の生産拠点・生産ラインへの展開を図るとともに、海外拠点への導入に向けた環境整備を進めていく。