ITRの発表によると、2017年度(2017年4月~2018年3月)のIT予算は、前年度から「増額」とした企業の割合が34%と、前年調査における2016年度の値から上昇した。一方で、IT予算を「減額」とした企業の割合は2001年の調査開始以来で最も低い水準となったという。
2018年度(2018年4月~2019年3月)に向けた見通しでは、「増額予定」が「減額予定」を大きく上回る傾向と、減額を見込む企業の割合が一桁台という様相は2017年度と同様であり、総合的にはIT予算の増額傾向は継続すると予想している。
今回の調査では、昨今課題となっている7つのテーマ(下表参照)について、推進役を担うべき部門・組織を質問をとった。その結果、いずれのテーマでも既存のIT担当部門が推進役を担うべきだとする割合が最も多く、特に「クラウドサービスの導入・利用拡大」と「サイバー・セキュリティ被害への対応」においては、50%を超えたという。
一方で、AIやIoTの導入、デジタル・ビジネスや働き方改革といったテーマにおいては、既存のIT部門が中心的な役割を担うべきとした割合が半数を下回っており、相対的にIT部門の関与度が低くなることが予想されるとしている。
また、製品/サービスの投資意欲を確認するため、導入済み企業における次年度に向けた投資額の増減傾向を「投資増減指数」、未導入企業における次年度に向けた導入意欲の度合いを「新規導入可能性」として、それぞれ算出してマッピングを行った(下表参照)。
そのうち、各種OSや基盤系ソフトウェア、管理ツールなどをまとめたOS/ミドルウェア分野では、「AI/機械学習」と「運用自動化」の2項目が前年からの高い投資意欲をさらに伸ばし、新規導入可能性と投資増減指数ともに上位となった。
そのほか、新たに調査項目に加えた「ディープラーニング」と「ブロックチェーン」については、新規導入可能性で極めて投資意欲が高いことが明らかになったという。
サーバ・システムやデバイスなどを含むインフラ/デバイス分野では「IoT/M2M」が、業務を直接的に支援するアプリケーション分野では「BI/データ分析」が、いずれも複数の業種で最も高い指数を獲得。国内企業が新分野のテクノロジーに積極的に投資する姿が鮮明に表れているという。
セキュリティ分野では、前年には落ち着きつつあると見られた「DLP(Data Loss Prevention)」や「デジタル・フォレンジック」の新規導入意欲の再上昇が確認。また、「CASB(Cloud Access Security Broker)」「SOC/マネージド・セキュリティ・サービス」といった、 新たな技術・環境に適応する項目は極めて投資意欲が高く注目を集めているとしている。
本レポートの全結果・分析をまとめた『国内IT投資動向調査報告書2018』の発刊は、11月中旬を予定。ITRのWebサイトを通じて先行予約販売を開始している。
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