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AIはアジアにおいてアクセシビリティ・農業・気候変動・教育・ヘルスケアの5分野で大きな成果――マイクロソフト発表

 マイクロソフトは、一部の人がAIの将来について注意を喚起していることは理解できるとしながら、次のように、アジア地域でAIがすでに大きな成果を挙げている5つの主要分野を紹介している。

 1. アクセシビリティ

 現在、アジア太平洋地域には、6億9,000万人の障碍を持つ人々がいる。AIは視覚、聴覚、認知、運動の障碍を持つ人々を支援し、日々の作業を独立して行い、より生産的で充実した生活を送り、社会により深く参画できるようにしてくれる。

 一例として、AIを活用して顔、感情、手書き文字など、多様な視覚情報を識別してくれる無料アプリ「Seeing AI」がある。これらの情報は、視覚障碍を持つ人々のために音声情報に変換される。これにより、世界に2億8,500万人いるロービジョン者の日々の生活を容易にし、視覚的世界へのアクセシビリティを高めてくれる。

 2. 農業

 今日、アジアの人口は世界人口のおよそ60%に相当する45億人を超え、世界で最も人口の多い地域となっている。この数値はさらに増加し、2030年までには50億人以上になると予測されている。アジア地域の食糧供給は既に課題を抱えているが、農家がAIやアナリティクスを活用して収穫高を大幅に向上する新たな方法を発見できなければ、さらに問題は悪化する。

 マイクロソフトは、インドで非営利団体「International Crop Research Institute for the Semi-Arid Tropics(ICRISAT)と協業し、天候や土壌などの指標に基づいて作物の植え付けに最適な日を農家に助言する「AI Sowing App」を開発した。

 このソリューションは、AIを活用して過去30年間の気象データを分析し、リアルタイムのデータと天候予測モデルを使用して雨量と土壌水分を計算することで、最適な播種期を予測する。このプログラムは、農地にセンサーを設置するなどの農家による投資を必要としないため、新興国での利用に特に適している。

 3. 気候変動

 21世紀最大の課題の1つとして、気候変動とそれがもたらす人類の健康、インフラ、自然システムへの影響がある。気候変動の主要な原因は炭素の排出にある。

 マイクロソフトでは、持続可能な事業運営を行い、ビジネスによる環境への影響を削減するという責任を重要視している。この責任を達成するための1つの方法として、マイクロソフトはAIの支援によりデータセンターの運用とインフラの管理を行っている。

 その結果として、データセンターの計算と冷却に必要とされる電力が減少する。実際、従来型のエンタープライズデータセンターと比較して、マイクロソフトのクラウドサービスはエネルギー効率が93%高く、炭素効率性が最大98%優れているという。

 また、AIテクノロジの活用により、データセンターだけではなく建物全体におけるエネルギーの効率性の向上が可能だ。シンガポールでは、国家の電力のおよそ3分の1が建物で使用されている。国家の産業基盤開発を担う政府機関JTCは、建物の監視、分析、最適化の運用を Microsoft Cloudに集約することで、この膨大な電力消費に積極的に対応している。センサーデータとAIによる分析を活用し、JTCは故障が起こる前に予測モデルによって問題を識別し、修正できるようになった。これにより、エネルギーコストが15%削減された。

 4. 教育

 教育はより良い未来を造るために不可欠な要素であり、マイクロソフトは学生にとっての教育体験を強化し、成績を向上するためにAIを活用している。

 南インドのアーンドラ・プラデーシュ州において、マイクロソフトは政府と協力し、学校からドロップアウトする可能性が高い学生を予測する新しいアプリを開発した。このソリューションは機械学習、AI機能、クラウドを活用し、入学時の情報、成績、性別、社会経済的特性、学校のインフラ、教師のスキルなどの複雑なデータを分析してパターンを探し出す。

 これにより、行政と学校の担当者はリスクが高い学生を早期に特定し、ドロップアウトを防ぐためのプログラムやカウンセリングを提供できるようになる。すでに、このアプリはアーンドラ・プラデーシュ州の1万校以上の学校で使用されており、2017年時点で500万人以上の学生が対象になっている。

 5. ヘルスケア

 AIテクノロジは今日の最も重大な疾病の克服において医療機関を支援すると共に、アジアの増加を続ける人々の生活の質を向上してくれる。

 マイクロソフトはインドにおいて、国内最大の医療組織のひとつであるApollo Hospitalsと協力し、世界の人々の死因のおよそ3分の1を占める心臓病の克服を目指してAIにフォーカスしたネットワークを開発した。インドに絞っても年間およそ300万件の心臓発作が発生しており、3,000万人のインド人が心臓病を患っていると推定されている。

 このパートナーシップは、マイクロソフトのAI専門知識と Apollo Hospitalsの心臓病における経験と知識を組み合わせることで、新たな機械学習モデルを開発し、患者の心臓病リスクを予測し、医師の治療計画を支援することを目標にしている。

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