10年ほど前、ERPベンダは「ERPで全ての業務を賄える」という提案をしてきました。しかし、今ではさすがにこのような提案は行わず、ERPベンダも他のシステムの必要性を認めています。本連載では、ERPと共存させたい周辺システムの活用を、3回に分けてお伝えします。第1回は、ワークフローを使ったERPとのコラボレーションの方法についてご紹介します。
ERPにも得意・不得意がある
ERPの大企業への導入はほとんど一巡し、現在は中堅企業への導入が進んでいます。近年、各ITベンダは売上高200~500億の企業(中堅企業)をターゲットにしたERPの導入提案を進めています。
大企業であれば、数十、数百の社内システムが存在し、その中の一部の業務をERPで実施しています。そしてそれらのシステムを管理・運営する部門も充実しているでしょう。しかし、上記のクラスの中堅企業では社内システムの数も少なく、IT化が全般的に遅れている事から手作業も多く残っています。そして情報システム部門の脆弱さなどから、ERPに対する期待はかなり大きく、ITシステムを刷新する際に、ERPのみで賄いたいとの思いと期待が大きいでしょう。
しかしながら、ERPにも得意・不得意があり、全ての社内業務をERPで実現する事には無理があります。ERPが不得意とする領域を他のツールで構築し、ERPシステムと補完し合い、時には連動させる事で、効果的かつ導入コストを抑えたITシステムの導入が求められています。
本稿では、ERPを補完する強力なツール(システム)の活用方法をご紹介します。
ワークフローツール
このERPの脇を固めるツール(システム)
の一番手に挙げたいのが「ワークフローツール」です。中堅企業では、まだ紙とハンコの社内処理が多く存在しており、申請から承認までの手続きが複雑で、時間が掛かっています。これを電子化する事で、多くのの効果を得る事が可能になります。
ワークフローツールの導入では、大きく分けて以下のような活用方法があります。
- 総務・人事系の申請承認:住所変更、家族変更、休暇申請、給与振込口座、など
- 勤怠管理:勤務予定、勤務実績登録
- 経費清算申請処理:交通費、立替清算、稟議、など
- ERPのフロントシステム:購買依頼、など
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松本 繁治(マツモト シゲハル)
米国系FA(ファクトリーオートメーション)機器メーカで生産設備の制御および管理システムの構築を手がける。その後、国内コンピュータメーカで販売管理や生産管理のシステム構築を経験。1998年からは外資系ERPベンダ(SAPジャパン)でコンサルタント/プロジェクトマネージャとして約6年間従事。外資系コンサ...
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