PostgreSQLの専業ベンダーとしての実績
PostgreSQLを用いビジネスを展開している企業の中でも「最もコミュニティと仲が良いのがEDBです」と、エンタープライズDB 代表取締役の藤田祐治氏は言う。
実際EDBでは、PostgreSQLのコミュニティに対し多くのサポートをしている。たとえばPostgreSQLのコミュニティでコントリビューターを務めている社員が大勢おり、さらに6名しかいないコミュニティのコアチームメンバーのうち2名がEDBの社員だ。彼らは社員としてEDBの仕事をこなしながら、オープンソースのコミュニティでPostgreSQLの開発にも貢献しているのだ。
これまでの16年間で、EDBの顧客は4,000社を超えている。アジア地域の大規模ユーザーとしては、中国Alibabaや韓国のコリアンテレコム、サムソンなどがあり、日本でも大手通信系企業などで製品が採用されている。
顧客増加にともない、同社の業績は順調だ。2020年上期は受注金額ベースで1.8倍の成長をしており、中でも新規顧客の売り上げが倍増している。「コロナ禍で厳しい状況の日本も、グローバルと同様なビジネス傾向となっており、順調に拡大しています」と藤田氏。
EDBが市場から指示されている理由の1つが、PostgreSQLの専業ベンダーとして豊富な知見と経験があることだ。その上で、コミュニティ版のPostgreSQLをエンタープライズ向けに進化させている点も評価が高い。「PostgreSQLを利用しているだけでなく、独自に進化させています。その経験をコミュニティにも還元し貢献しており、コミュニティと一緒に成長しています」と藤田氏は言う。
EDBにはソフトウェア、サポート、サービスという3つのビジネスコンポーネントがある。ソフトウェアとは、PostgreSQLをベースとしたデータベース・サーバーとそれを取り巻くツール群だ。サポートは、テクニカルサポートと主に海外で展開しているDBA(Database Administrator)の代行がある。サービスは、プロフェッショナルなコンサルティングを提供する。
EDBのソフトウェア製品は、コミュニティ版のPostgreSQLに管理ツールのEDB Postgres Enterprise Managerやバックアップリカバリーツール、レプリケーションサーバーやEDBコネクタ、移行ポータルなどで構成される「EDB Postgres Tools」を加え、アップデート、アップグレード、テクニカルサポートを提供する「EDB Postgres Standard」がある。
そしてStandardに、PostgreSQLを企業用途向けに増強しOracle Databaseとの高い互換性を持たせた「EDB Postgres Advanced Server」を加えた「EDB Postgres Enterprise」がある。
さらに3つ目の製品として、PostgreSQLおよびEDB Postgres Advanced Serverでストリーミング・ロジカルレプリケーションを可能にする「EDB Postgres Replication Server」も提供予定だ。
これを利用すれば複数マスター構成で一貫性を維持して双方向レプリケーションが可能となる。さらに異機種間でのレプリケーションまでもサポートされ、大規模な環境でも利用できAWSやAzureなどパブリッククラウド間のレプリケーションも想定したものとなる。
PostgreSQLのすべてをオンデマンドで学べる一週間
10月5日(月)10:00〜10月11日(日)21:00に、EDB Postgres Vision Tokyo 2020がオンラインで開催されます。DB移行事例からレプリケーション、コンテナまで幅広く網羅し、現場で役立つ情報が満載です。お申込みはこちらから!
PostgreSQLをエンタープライズ用途で使うための機能を装備
ここ最近はコミュニティ版のPostgreSQLにおいて、エンタープライズ向けの機能が強化されている。たとえばPostgreSQL 9.6では、高速な検索を可能とするパラレルクエリが搭載された。
さらにPostgreSQL 11では、従来のリストとレンジに加えハッシュ・パーティショニングもサポートされた。バキューム機能もバージョンが進むにつれ改善されており、今や十分に大規模エンタープライズ用途で利用できるデータベースへと進化しいている。
コミュニティ版のPostgreSQLを、ミッションクリティカルな用途でさらに安定して高い信頼性で運用できるのがEDB Postgresだ。またEDBが提供するOracleとの高い互換性により、既存のOracle Databaseからも容易に移行できる。
その上で「EDBを使い高い可用性のあるシステムを作りたい場合に適用できる、ベストプラクティスも用意しています」と藤田氏。HA(High Availability)構成のベストプラクティスを、バックアップを確実に実施するブロンズから段階的に、シルバー、ゴールド、さらに災害対策構成に至るプラチナの4段階のレベルに分け、顧客の要求に合わせ選択できるようにしている。
もう1つエンタープライズ用途で利用するために、力を入れているのがセキュリティだ。「セキュリティに関しては、Oracleを使ってきた人が違和感ないようにする機能がEDBで用意されています」というのは、エンタープライズDB 技術本部長の高鶴勝治氏だ。
セキュリティ面でもOracleとの高い互換性が意識されており、パスワード強度の設定やデータ・リダクションなどは、Oracleと同様な管理が可能だ。またコミュニティ版では弱い監査系機能も強化されており、データベースユーザーだけでなくアプリケーションユーザーの処理も、細かいレベルで追いかけられるようになっている。
またEDBでは「性能管理をする機能を充実させています」と高鶴氏。たとえばOracle Databaseのヒント文を理解しEDB Postgresで実行できる機能、CPUやディスクIOを優先して割り当てる機能、問題のあるSQLを見つけそれを自動で改善する機能などがある。「開発者もDBAもOracleから違和感なく移行し利用できる機能が揃っています」という。
もう1つ、コミュニティ版の弱いところを補っているのが管理ツールだ。Postgres Enterprise Managerを使うことで、GUIベースで複数データベースの一元管理が容易に実現でき、バックアップリカバリーではOracleのRMAN(Recovery Manager)と同じように使える機能も用意されている。
さらにEDB Postgres Failover Managerを活用すれば、Oracle Real Application Clustersで実現しているような高可用性構成の移行も容易に実現できるのだ。
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Oracleからの移行を強力にサポートするツールとコンサルティング
EDB PostgresがOracleと互換性が高いとは言え、100%の互換性があるわけではない。Oracleとの互換性ギャップを埋めるのがアセスメントツールのEDB Migration Portalだ。これは「移行のためのアセスメントに利用するだけではなく、自動で修正できるものはコードを変換し、直せないものはこうすれば直せるという修正ハンドラーの機能も提供しています」と藤田氏。実際にこれを活用して、Oracleからの移行を実現している例が日本でも増えている。
EDB Migration Portalは、オンラインのサービスであり無償で利用できる。セキュリティルール上オンラインで利用したくない場合は、オフラインで専有した利用も可能だ。このEDB Migration Portalを利用し、移行のアセスメントを実施するMigration AssessmentのコンサルティングサービスもEDBでは提供している。さらに、PoCを実施し移行作業そのものを支援するMigration Assistantもある。
ここ最近は、オンプレミスのOracleからAWS上のEDB Postgresに移行する事例が増えている。AWSにも移行ツールは用意されており、それを使えばPostgreSQL部分の移行はできる。しかし、EDB Postgres Advanced ServerのOracleのオブジェクトを認識できる部分などには対応していない。Migration Portalの機能を使うことで多くの移行作業を自動化でき、自動で対処できないところだけを人手で対応することになる。これで、移行作業のコストを最適化できると高鶴氏は言う。
EDB Postgres Vision Tokyoではリアルな移行事例についても紹介
2020年10月に開催するオンライン・カンファレンスイベント「EDB Postgres Vision Tokyo 2020」は、6月に実施したグローバルイベントの日本版だ。
PostgreSQLを使ってイノベーションを起こしたい人がターゲットのイベントで、EDB Postgresのすべてを「オンデマンド」で学べる1週間となっている。基調講演にはEDBのCEOのエド・ボヤジャン氏が登場し、さらにデータ活用によるヘルスケア領域におけるイノベーションを推進する千葉大学病院の島井健一郎先生、京都大学の粂 直人先生による特別講演が予定されている。
基調講演は決められた時間に開始されるが、他のセミナーはオンデマンドで視聴できる。つまり1週間の都合の良い時間にいつでも、何度でも視聴できるのだ。Oracleからの移行事例セッションも用意されており、移行プロジェクトの実際の様子を、プロジェクトに携わったエンジニア自ら伝えるものとなっている。これらは、移行を考えている人には大いに参考になるものだろう。他にもニーズの多いレプリケーションや、最新のコンテナ技術に関連するセミナーなど、数多くのセッションが用意されている。
またグローバルの担当から、最新のロードマップの紹介もある。今後EDB Postgresがどう進化していくかに興味がある人には、これが大いに参考になるだろう。高鶴氏は、今後はよりエンタープライズ向けの機能に力を入れ、その上で開発者にもフォーカスした強化なされる。その上で「パブリッククラウドでの利用を意識したものになっていきます」という。EDB Postgresの未来の姿が気になる人も、EDB Postgres Vision Tokyo 2020は必見のものとなりそうだ。
「EDB Postgres Vision Tokyo 2020では、EDB Postgresがここまで使えるものだということを実感してもらえる場になるでしょう。データベースの移行は大変だとのイメージもありますが、実際には簡単にできることもセミナーを通じて理解してもらえるはずです」と藤田氏。EDB Postgresが市場で受けている真の理由をこのセミナーで是非実感して欲しいという。
PostgreSQLのすべてをオンデマンドで学べる一週間
EDB Postgres Vision Tokyo 2020が10月5日(月)10:00〜10月11日(日)21:00にオンラインで開催されます。DB移行事例からレプリケーション、コンテナまで幅広く網羅し、現場で役立つ情報が満載です。お申込みはこちらから!