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ファイナンスDXを推進するBoard 経営企画と事業企画のギャップをつなぐ統合事業計画(IBP)とは

 2012年の日本法人設立以来、BIとEPM(Enterprise Performance Management)を一体的に提供する製品で経営管理の高度化をサポートしてきたBoard。その同社が今、ファイナンスのDXに取り組む企業に向けて訴えるのが「統合事業計画(IBP)」の必要性である。Board Japan社長の篠原史信氏になぜ経理部門のDXの要になるのかを訊いた。

BIではできない計画業務、Excelでは限界

<p>Board Japan株式会社 取締役社長 篠原史信氏</p>

Board Japan株式会社 取締役社長 篠原史信氏

――最初に会社概要とどんな製品を提供しているかご紹介をお願いします。

 1994年に創業したBoardはスイスと米国の2拠点に本社を構え、BI機能と管理会計の機能を組み合わせたソフトウェア製品「Board」を提供しています。従業員数は約400人。Coca-Cola European Partners、H&M、Puma、Ricoh Europe、Toyota Motor Europeを始め、全世界における導入は3,000社を超えていて、国内では数十社のお客様がいます。最近の導入事例で多いのは、DXや統合事業計画(IBP)をテーマとするものが中心で、本社のファイナンスと現場の溝を埋める予算編成のサポートをしています。

――Boardが提唱しているIBPとは、どんな考え方でしょうか。

 部門の中だけではなく、ファイナンスを軸に複数部門を統合的に見える化する施策です。例えば、Ricoh Europeでは営業とファイナンス、Coca-Cola European Partnersの場合は営業と工場とファイナンスをIBPの考え方に基づき、部門単位で全社のバランスを考えて計画を作れるようにしています。

――なぜ今、IBPが必要とされているのでしょうか。その背景について教えていただけますか。

 見える化と聞くと、最初はBIツールを使うことを連想すると思いますが、BIツールでできる見える化は過去のデータを対象にしたものです。モノを作れば売れた時代は、「まずは見えるようにしよう」でも良かったのですが、計画業務で必要なのは将来何をするかを決めるためのデータです。そのデータはデータベースの中にはなく、人の頭の中にしかありません。CEOや事業部長たちの頭の中にあることを集めないといけないわけですが、BIツールはそれができません。

 多くの企業ではExcelとBIツールで頑張っていますが、どうしても速度と精度で限界が来る。仮に1事業部に10人の部長がいたとしましょう。5事業部の会社であれば50人からデータを集めないといけません。50回もコピペをすれば、どこかで間違いが起こりますし、一度集めたらそれで終わりではありません。月次でフォーキャスト会議をやることもありますし、一次予算から二次予算へと段階的に要求を取りまとめながら編成するプロセスの場合、精度に影響が生じます。新型コロナのような誰も予想できない事態が起きた時、「来週までに見直して下さい」と言われても現場は対応できないわけです。

――そもそもBIツール単体では計画業務に対応できません。また、多くのBIツールはデータ入力をカバーしていないので、そこはExcelに依存しているのですね。

 Excelは自由度が高いので手軽に使う分には良いのですが、いつまでも手軽なままでいられるでしょうか。IBPは予実管理におけるガバナンスの担保にも長けていますし、分析という観点では「しなくても良い分析」をせずにすむというメリットもあります。現場がセルフサービスBIを使って分析することは良いことだと思いますが、各部門をつなぐ会社としての意思、つまり「戦略シナリオ」に沿った分析はもっと重要です。会社としては戦略に基づいて中期経営計画と年度計画を作るわけですから、目標値に対して現実が沿っているかというシナリオベースの分析が求められます。

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日本企業が抱える典型的な問題

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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