バックオフィスの“負の連鎖”は全体最適で断ち切る──システム「つくりなおし」に舵を切ったジンズ流DX
ITシステムの“市民開発”も促進、グローバル展開を見据えてDX加速へ

アイウエアブランド「JINS」を国内外に展開するジンズでは、「最高の顧客体験の実現」に向けバックオフィスシステムの基盤としてServiceNowを採用した。2023年10月18日に開催されたイベント「ServiceNow World Forum Tokyo」では、同社のグローバルデジタル本部 ITデジタル部 コーポレート基盤グループの原島洋将氏が登壇。同社が抱えていたバックオフィスの課題やServiceNow導入までのプロセス、そして将来の展望について語った。
“個別最適”から“全体最適”へ システムを「つくりなおす」
ジンズは「世界一のアイウェアカンパニー」を目指し、日本の464店舗のほか、中国、アメリカ、台湾、香港、フィリピンにも店舗を展開している。さらなるグローバル展開を加速していくため、2023年9月には組織改編を行った。
同社は「最高の顧客体験の実現」を目標にしてデジタル戦略を展開している。デジタル技術によって従業員の生産性を高め、データを活用した商品力強化などを目指して、従来の課題を解決するためにシステムの作り直しを進めているのだ。
同社が抱えていたこれまでの課題について、原島氏は「複数の個別最適化したシステムによってランニングコストが増加し、データ管理も複雑化していた」ことを挙げた。このような状況を変えるべく、同社はIT基本方針に「つくりなおす」を掲げ、目指すべき姿を示している。

その目指すべき姿は、“全体最適”を考慮して作られたシステムだと原島氏は語る。これを達成することで最適なランニングコストで運用が可能になるだけでなく、変化に強く、データが集約されて分析しやすい状態を生み出す。また、外部ベンダーに依存せず、社内リソースを活用した柔軟な機能追加、改修のリードタイム短縮も可能になるとした。
バックオフィスが抱えていた「負の連鎖」
続いて原島氏は、バックオフィスが抱えていた課題について触れた。顧客のニーズや事業環境は常に変化するため、これに合わせてビジネスプロセスやシステムも変えていく必要がある。しかし、これまで同社はベンダーに任せていた部分が大きかったことで、顧客ニーズや事業環境の変化に対応するためのコストと時間がかかっていたという。結果として、ビジネスプロセスが事業に対して常に遅れを取っている状態に陥ってしまっていた。
この状況を脱却すべく、同社はグローバルにおける事業環境の変化に素早く適応できる柔軟なビジネスプロセスと、高い業務生産性の2つを目標に掲げた。達成のためには、柔軟性とアジリティを備え、グローバル展開もしやすい「デジタル基盤」への移行が必要と判断し、ServiceNowを導入したという。
同システムの選定理由について原島氏は「豊富な機能性、データの一元管理能力、ローコード開発の容易さ、多言語対応や国の規制要件のクリア、そしてグローバルでの実績です」と述べた。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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