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Oktaはなぜ、Apple製品のセキュリティ企業「Kandji」に出資するのか?


 OktaのベンチャーキャピタルOkta Venturesが、Appleデバイス管理ソリューションを提供するKandjiに投資している。エンタープライズ市場でのApple製品の普及に伴い、エンドポイントセキュリティの重要性が高まる中、両社の製品統合により強固なセキュリティエコシステムの構築を目指している。

Oktaのベンチャー投資戦略

(左より)Adam Pettit, Nathan Sparks,Weldon Dodd, Steve Sutcliffe [画像クリックで拡大]

 近年、米国のIT系グロース企業は、自社の拡大戦略の一環として積極的な買収とベンチャー投資を展開している。Google Ventures、Salesforce Ventures、Microsoft、Amazonなどの大手テック企業が運営する投資会社は、多くのスタートアップに投資し、ユニコーン企業の育成やIPOの支援を行ってきた。特に最近では、クラウドやAI関連分野での投資が活発化している。

 この潮流の中で注目を集めているのが、アイデンティティ管理製品を提供するOktaが運営するベンチャーキャピタル部門のOkta Venturesである。Okta Venturesは、アイデンティティ、セキュリティ、プライバシーに関連する最先端技術を開発するスタートアップ企業に投資を行ってきた。その特徴的な点は、単なる資金提供にとどまらないことである。投資先企業には、Oktaの豊富なAPIやテクノロジー、エンジニアリング専門知識へのアクセス、Okta Integration Networkを通じた共同マーケティングの機会、アイデンティティ分野でのイノベーションを推進するエコシステムなどのサポートを提供している。

 Okta Venturesの注目すべき投資先の一つが、デバイス管理(MDM)ソリューションを提供するKandjiである。Kandjiは、Appleデバイスに特化したエンドポイント管理およびセキュリティソリューションを提供する企業で、2018年の創業以来急成長を遂げ、現在では44カ国、約4,000の顧客にサービスを提供するまでに至った。Okta Venturesは、これまでKandjiにシリーズAから段階的に3度の出資を行っている。

Appleのエンタープライズ市場拡大

Kandjiの創業者兼CEO アダム・プティット(Adam Pettit)氏 [画像クリックで拡大]

 Kandjiの創業者兼CEOであるアダム・プティット(Adam Pettit)氏は、この投資関係について次のように述べている。「Okta Venturesを通じて、Kandjiに3度の資金調達ラウンドに投資してくれました。これまでOktaが他の企業に投資した歴史と比較しても相当な規模のものでした」

 しかし、OktaとKandjiの関係は単なる投資以上の意味を持つ。KandjiのCROであるネイサン・スパークス(Nathan Sparks)氏は次のように強調する。「投資収益のメリット以外にも、KandjiとOktaには『Better Together(より良い共存)』のストーリーがあり、共同の価値提案を市場に持ち込むことが出来ます」

 OktaがKandjiに投資を決めた背景には、Apple製品のエンタープライズ市場での急成長がある。プティットCEOは次のように説明する。「エンタープライズITの世界で、Appleデバイスの台頭は目覚ましいものがあります。かつてはWindowsが独占していた企業のデスクトップ環境に、MacやiPad、iPhoneが急速に浸透しつつある。この流れを受けて、Appleデバイス向けのエンドポイント管理とセキュリティソリューションの需要が高まっています」

 Apple製品がエンタープライズ市場で成長している背景には、いくつかの要因がある。クラウドサービスの普及により、従来、Windows、OSの違いが障壁になりにくくなったこと。若い世代を中心に、職場でもApple製品の使用を望む声が高まっていること。そして、リモートワークの増加に伴い、セキュリティの焦点がエンドポイントに移ったことが挙げられる。

 また、プティットCEOは「AppleはUnixとの親和性が高く、ソフトウェアエンジニアにとって信頼されていることも重要。テクノロジー企業の経営幹部やエグゼクティブの間でも浸透してきました」

 加えて、Apple製品はセキュリティの面でも信頼されており、これがエンタープライズ市場での普及を後押ししている要因の一つとなっている。

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エンドポイントセキュリティの重要性

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、EnterpriseZineをメインにした取材編集活動、フリーランスとして企業のWeb記事作成、企業出版の支援などもおこなっている。 ...

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