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富士ソフト、新体制のもと変革を加速 オファリング型への転換で営業利益の倍増目指す

 富士ソフトは2026年4月27日、「2026年度新体制発表会」を開催した。同社は2025年の株式公開買付け(TOB)を経て非公開化しており、2026年度より新たな経営体制のもと、「富士ソフト Gen.2」を掲げる。代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの室岡光浩氏は、就任後初となるメディア向け会見で、従来のスクラッチ開発・人月型中心のビジネスモデルから、組織知をアセット化し再現性を高める「オファリング型」へのシフトを表明。2028年度に連結営業利益500億円以上を目指すロードマップを提示した。

 室岡氏はこれまで、日本電気(NEC)にて一貫してグローバル戦略を担ってきた経歴を持ち、2025年7月に同社へ入社。同氏は、富士ソフトが培ってきた、AI単体では完結しない物理的な制御やリアルタイム性が求められる止められない分野において、AI・IT・OTを統合できる同社の優位性を強調。この資産をAI時代における成長機会へと進化させ、お客様の未来を創造するデジタルイノベーションカンパニーを目指す姿勢を示した。

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富士ソフト株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 室岡光浩氏

 組織体制については、2026年1月より従来の9事業本部制を再編し、3つのビジネスユニット(BU)制とCxO制を組み合わせた「クロスマトリクス経営」を導入した。新体制では、組込/制御BU、ソリューションBU、社会インフラBUの各ユニットが売上・利益の責任を担う。取締役専務執行役員(Co-COO)の大迫館行氏は、この再編について「これまで独立採算制のように伸ばしていくために9事業本部に分かれていたが、それぞれシナジーが出やすいように3ビジネスユニットにまとめた。データから装置、そしてアプリケーションを一気通貫で作れる、迅速に意思決定できる体制だと考えている」と話した。

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富士ソフト株式会社 取締役 専務執行役員 Co-COO(Business Operations)大迫館行氏

 同時に導入されたCxO制では、財務、営業、マーケティング、人事、技術の各専門領域において、外部人材と内部人材を融合させた体制を構築。コーポレートオペレーションを担当する常務執行役員 Co-COO(Corporate Operations)兼 CFOの小野健二氏は、この体制を「縦で稼ぎ、横で鍛え、中央で回す」と表現し、次のように説明した。

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 「グループ全体としてどこの領域に投資して、どこの領域で価値を伸ばしていくか、質の高い成長につなげていくことを目指す。コントロールと言っても現場を縛っていくものではない。選択肢を整理して見通しを良くし、意思決定を早くする。その結果として、個別最適と全体最適が自然に噛み合う状態を作り上げていく」(小野氏)

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富士ソフト株式会社 常務執行役員 Co-COO(Corporate Operations)兼 CFO 小野健二氏

 成長戦略の核となるのは、自動車(SDV、自動運転)、スマート工場、公共・金融といった同社の強みを持つ領域でのフィジカルAIとIT/OTの統合だ。同社は2,500人を超えるオートモーティブ技術者を擁し、製造現場でのロボット制御や熟練技術のデジタル化など、現場に即したAI実装で実績を積んでいる。そのうえで室岡氏は、「これらをオファリングすることで、顧客の経営課題に刺さる提案型ビジネスを強化し、単なる協力会社から経営変革の伴走パートナーへと立ち位置を変化させる」と方針を説明した。

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 人材面では、過去8年間にわたり年間約800人規模で行ってきた新卒採用を、今年度は約半分に抑制。室岡氏はその背景を「お客様から、高度人材を出してほしいと盛んに言われている。AIを操れる人間や、高度なテクノロジーに精通するような尖った人材など、そういうところにフォーカスを当てて人の質を上げていく必要がある」と説明。平均年齢35.6歳という同業他社比でも若い組織構成を維持しつつ、特殊技術を持つエンジニアへの教育カリキュラムも検討しているとした。

 また、社内コミュニケーションの活性化にも注力しており、室岡氏自らが現場社員と対話するラウンドテーブルや、全従業員向けのタウンホールミーティングを定期的に実施しているという。室岡氏は「ボトムアップの声を大切にしていこうと考えている」と語り、経営の透明性を高め、全社員が変革を自分事として捉える文化の醸成を目指しているとした。

 富士ソフトは、2026年を「戦略と組織の基盤作り」の年と位置づけ、ガバナンスの強化や組織風土の改革を推進していく。2025年度の営業利益は約240億円であったが、2028年度にはこれを倍増以上の500億円超(調整後営業利益)まで引き上げる目標を掲げている。室岡氏は「守るべき価値はしっかりと守る。そこにこれからの時代に必要な新しい力を加えていく。否定から入る改革ではなくて、進化としての変革である」と話し、従来の強みを維持しながら、効率化と付加価値向上を追求する姿勢を強調した。

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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

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