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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

手強い“2025年の崖”を乗り越える:モダナイゼーション最前線

毎日来る社内依頼や問い合わせを一元化するには?M365/ServiceNowを用いた具体的手法を解説

いきなり全社規模で変革しても意味がない どこからスタートするべきか

 企業変革を阻む要因は、老朽化した基幹システムだけではありません。人事、総務、IT部門と従業員の間で日々発生する依頼や申請、問い合わせの数々もそのひとつです。これらがメールやチャットに分散、埋没することで、依頼する側も対応する側も「探す時間」と「対応に追われる時間」に忙殺され、本来注力すべき業務に集中できない状況が生まれています。連載「手強い“2025年の崖”を乗り越える:モダナイゼーション最前線」の第3回は、こうした見えないコストを撲滅し、全員が本来の業務に集中できる環境を取り戻すためのカギとなる「業務の玄関口(ポータル)」構築について解説します。

組織を蝕む「見えないコスト」の正体

 連載第1回では、「2025年の崖」と労働人口減少という二重苦の中で、日本企業が直面している技術的・業務的負債について取り上げました。

 今回はその中でも、現場の生産性を静かに、しかし確実に蝕んでいる要因である「社内コミュニケーションの分断」と、それにともなって発生する「依頼、問い合わせの迷走」に焦点を当てます。

なぜ、私たちの仕事時間は「やり取り」に侵食されるのか

 近年、企業を取り巻く環境は劇的に変化しています。ESG経営や人的資本経営への対応、高度化・厳格化するセキュリティ対策など、企業存続に不可欠な取り組みが次々と求められるようになりました。その結果、これらへの対応業務が増え、コア業務と直接つながらない業務負荷が現場に積み重なっています。

 たとえば、各種アンケートへの回答、教育・研修の受講、セキュリティやコンプライアンスに関する申請・報告対応などです。これら一つひとつは重要である一方、現場部門にとっては日々の業務の合間に対応せざるを得ず、「探す」「確認する」「対応する」といった時間が、知らず知らずのうちにコア業務を圧迫しています。

 問題の本質は、これらのやり取りが統一されていない手段で行われていることにあります。

 年末調整の案内はメールで届き、セキュリティ更新の督促はチャットで送られてくる。一方、従業員が「PCの調子が悪い」とIT部門に問い合わせようとしても、電話窓口は混雑でつながらず、専用フォームがどこにあるのかわからない──。

 その結果、メール、チャット、社内ポータルなど、無数の業務ツールを行き来しながら、「自分は何をすべきか」「誰に、どの手段で問い合わせればよいのか」を探し回る時間が、従業員の日常業務の中で恒常的に発生しています。

依頼の複雑化(クリックすると拡大します)

「三すくみ」の疲弊構造

 こうした状況は、社内に「三すくみ」の疲弊構造を生み出しています。

社内の立場

疲弊する理由

コーポレート部門(人事・総務・IT) 従業員への依頼(トップダウン)は回答が集まらず、リマインド対応に追われる。一方で、従業員からの問い合わせ(ボトムアップ)は電話やメール、チャットに分散し、同じような質問への個別対応に多くの時間を割かれる
管理職 部下の申請承認や労務管理、異動・入退社時の各種手続き支援などが可視化されておらず、対応漏れに対する不安をつねに抱える
従業員 依頼が多すぎて見落としたり、申請方法がわからずたらい回しにされたりする。情報を探すだけで時間とエネルギーを消耗し、コア業務への集中力が削がれる

 この組織内コミュニケーションの分断こそが、組織全体の生産性を低下させ、従業員体験(EX:Employee Experience)を悪化させる大きな要因となっているのです。

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Microsoft 365とServiceNowを用いた「業務の玄関口」再構築方法

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この記事の著者

大平 剛士(オオヒラ ツヨシ)

 株式会社日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 AIワークオートメーション本部 アプリケーションDX部 部長。 Microsoft 365やPower Platform、Copilotといった最新テクノロジーを活用したアプリケーションDX事業を推進。SharePoint...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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