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自治体での生成AI活用の実態とは?──札幌市/志摩市/宮崎市の担当者が“手応え”を明かす

「Google Cloud Next Tokyo ’24」自治体セッションレポート

 8月1日~2日に開催された、「Google Cloud Next Tokyo ’24」では、自治体担当者が登壇し「実際どうなの? Google Cloud活用自治体によるパネルディスカッション」が行われた。Google Cloudを導入している4つの自治体で、生成AIをどのように活用しているのか。そこで印象的だったのは、様々な模索をしながら利用を進める自治体の姿だった。そんなパネルディスカッションの様子を紹介する。

鹿児島県肝付町:住民との接点を増やす実証実験を実施

 本セッションには、ファシリテーターを務めた鹿児島県肝付町 デジタル推進課 課長補佐の中窪悟氏、パネリストとして北海道札幌市 デジタル戦略推進局 情報システム部 システム調整課 内部システム担当係の高棹大輔氏、三重県志摩市 政策推進部スマート改革・資産経営課 デジタル推進係長の小野正太郎氏、宮崎県宮崎市 総合政策部 デジタル支援課 課長補佐の松浦裕氏の4人が登壇。それぞれの自治体での生成AI活用を明らかにした。

* * *

 まず、ファシリテーターの鹿児島県肝付町の中窪氏から、地域全体のデジタルシフトの取り組みが紹介された。肝付町では令和4年度から、Google Workspaceをはじめ、Google Cloudの各種サービス、Chromebookを全庁に導入したという。

 「アプリケーションとユーザー側を分離し、ゼロトラストセキュリティ環境で仕事をするように整備しました。職員の働き方と行政のカルチャーを変えたいと考えています。2024年7月には、職員がコンビニのイートインコーナーで仕事をする実証実験を1ヵ月間実施。目的は、町の職員がコンビニで仕事をすることではなく、アウトリーチを実践し、住民の皆様とのタッチポイントを増やすことです。コンビニは一つの例ですが、今後子ども食堂や郵便局、さらにもっと違う場所で住民の皆さんとの接触機会を増やしていきたいと考えています」

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 中窪氏は、今回のイベントのテーマである生成AIについて「肝付町での活用は進んでいません。今日は先行して生成AI活用を進めていらっしゃる自治体の方々の取り組みをいろいろ伺い、学んで帰りたいと思っています」と話し、パネルティスカッションをスタートさせた。

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鹿児島県肝付町 デジタル推進課 課長補佐 中窪悟氏

札幌市:職員を対象にした生成AI研修、年度内1,000人受講へ

 北海道札幌市の職員は約1万6000人。高棹氏は、デジタル環境整備プロジェクト 生成AIチーム担当PMとCAIOを兼ね、生成AIの対応を担当している。同市では、2023年6月から生成AIの本格的な検討を開始。翌月には専門チームを起ち上げ、12月に「札幌市生成AIガイドライン群」を策定した。2024年3月には全職員がMicrosoft Copilotを利用することを許可し、グーグル・クラウド・ジャパンとはデジタル改革を行うために戦略的提携を締結した。

 「全職員の生成AI利用状況としては、Microsoft Copilotで個人情報を除く全データを使える状態になっています。職員に、積極的な生成AI利用を促すため、プロンプトエンジニアリングの考え方などを紹介するコラムを週に1回程度発信しています。今、私が一番注力しているのは研修です。講義+ハンズオンで生成AI研修を開催し、これまでに約200名が受講しました。8月には300名程度の規模で実施し、年度内に1,000名程度の受講を目指しています」(高棹氏)

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北海道札幌市 デジタル戦略推進局 情報システム部 システム調整課 内部システム担当係 高棹大輔氏

 グーグル・クラウド・ジャパンとの提携以降、同社主催で職員向けにGemini for Workspaceのワークショップを開催したところ、生成AIに興味がある職員約30人が参加したという。「4時間ほどのワークショップが1回、さらに週1回、1時間程度のフォローアップセッションをやってもらっています。実際に自分の業務に生成AIがどう使えるのか、アイディエーションを実施しています」

 講習開催後の参加者アンケートでは、5段階中4.7と高評価となった。

 「生成AIを見聞きしたことはあるが、どう使ったらいいかわからない職員が多い。リアルにGoogle Cloudさんから解説やアドバイスを聞いたことが高評価につながったようです。また、仲間と集まって話し合い、『こう考えればいいのでは?』『こんな使い方ができそうだ』といった話し合いをする場を設けたことも好評でした」

 話し合いの中では、市民向けアンケートや中小企業向けのDX推進に関するアンケートの設問をGeminiに作ってもらうことや、利用しているものの作成者が不明のマクロの解説書を作成するなどの案が出されたという。さらに高棹氏は「食育推進計画作りに携わっている方から、他の自治体でどんな計画が出ているのか、公開情報を探し出し、まとめるのに使えるのではというアイデアが出ました」と話した。

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 最後に高棹氏は「生成AIをもっと日常的に利用できるようになるために、パートナーとなってくださる方の力をお借りしたい。『札幌DXラボ』という窓口を作ったので、ご興味ある方は、お声がけ頂けるとありがたいです」と訴え、プレゼンを締めくくった。

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志摩市:独自生成AIチャットの「Ask サチ子」で身近に

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この記事の著者

三浦 優子(ミウラ ユウコ)

日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務。1990年、コンピュータ・ニュース社(現・BCN)に記者として勤務。2003年、同社を退社し、フリーランスライターに。IT系Web媒体等で取材、執筆活動を行なっている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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