【200人以上が参画】オムロンの生成AI活用の屋台骨を支えるのは“業務課題を持つ”メンバーたち
「Concur」「Ariba」導入で現場は大混乱……問い合わせ業務の軽減に活路見出す

オムロンでは現在、各組織の業務部門の担当者がリアルな業務課題を持ち寄り、それらを生成AIで解決するための方策を検討するプロジェクト「AIZAQ(アイザック)」を全社規模で推進している。このプロジェクトを始めるに至った背景やその取り組み内容、今後目指す方向性などについて、同プロジェクトの運営担当者および参加者にそれぞれ話を聞いた。
実務への生成AI適用を検証する全社プロジェクト「AIZAQ」
オムロンは、生成AIの活用を推進すべく2023年9月に全社プロジェクト「AIZAQ」を始動させた。このプロジェクトを立ち上げた背景や目的について、同社 イノベーション推進本部 DXビジネス革新センタ長の伊藤卓也氏は次のように説明する。
「ChatGPTが登場して世間で高い注目を集めたことで、弊社の経営層も生成AIに着目しました。そこで外部から有識者を招いて、経営層が生成AIについて学び、実際に手を動かす機会を設けた結果、『生成AIは大きな可能性を秘めており、数年後には計り知れないインパクトを与える技術で、オムロンとしても取り組んでいくべきだ』という認識に至りました」(伊藤氏)
そこで早速、自社業務への生成AIの適用可能性を検証するために、社内の様々な部門からユースケースを募り、最終的に24のユースケースに対して試験的に生成AIを適用して、その有効性を検証するプロジェクトを立ち上げることになった。プロジェクト名の「AIZAQ」は、AI with Zest, Accelerate to and Quest throughの頭文字を取ったもので、アイザック・ニュートンにちなんでつけられたという。検証の推進にはケイパビリティのサポートが必要と考え、24のユースケースをサポートしてくれる参加者を全社で募集したところ、予想を超える数の参加希望者が集まった。
「始める前は『10人ぐらいしか集まらないのでは』と心配していましたが、いざふたを開けてみると200人以上の社員からの参加希望が寄せられ、最終的には230人をチームに分けて24のユースケースの検証を行うことになりました」(伊藤氏)

まずは2023年9月から「Season1」をスタートさせ、半年間かけて実務を想定したユースケースの検証を進めた結果、「生成AIはオムロンのDX推進に大いに寄与できる」「全社レベルで本格的に活用を推進すべき」との結論に至った。そこで2024年4月から「Season2」の活動を新たに立ち上げ、社内各所から寄せられた25のユースケースへの生成AI適用の検証を253人の参加者で行うことになったという。
「Season1は『まずは生成AIを触ってみて活用できそうか確かめよう』というフェーズだったのですが、Season2ではもう一歩踏み込んで、本格的に各組織の業務へ導入することを想定した検証にシフトしました」(伊藤氏)
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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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