1950年創業の精密小型モーター大手であるオリエンタルモーターは、長年使いつづけたERPの老朽化や電子帳簿保存法の改正を機に、経費精算システムと請求書管理システムを刷新した。経理部の負担増が課題とされる中、同社ではいかにして工数や残業時間の削減などを実現したのか。
老朽化したERP刷新にあわせて、経理部は「脱・手入力」へ
1950年の創業以来、オリエンタルモーターは精密小型モーターの開発・製造、販売までを手がけることで海外比率が50%を超えるなど、グローバルで成長を遂げてきた企業だ。その堅実なモノづくりを支えるバックオフィスでは、長年にわたりレガシーな運用が続いていた。同社 経理部の秋元正剛氏は、デジタル化以前の状況について、「15年ほど前にERPを導入して以降、これまでデジタル化を強く意識してきませんでした。そのため、紙ベースの承認フローが多く残っていたのです」と振り返る。
この状況に一石を投じたのが、新型コロナウイルス感染症の拡大、そして電子帳簿保存法(以下、電帳法)の改正だった。経理部では、電帳法への対応として電子データを保存していたものの、それが業務効率化に直結していたわけではなかったと同社 浅野陽子氏は語る。
「電子データで保存しても、システムがそれを自動的に読み取ってくれるわけではありません。結局、PDFの請求書を目視で確認しながらシステムへ手入力することで、単に手間が増えただけでした」(浅野氏)
特に全国各地にある製造ラインを抱えた拠点では、依然としてアナログな処理が色濃く残っていた。つくば事業所に所属する亀井裕美氏は、「紙書類を郵送や定期便で送付していたことで、申請から確認までに半日から1日のタイムラグが発生していました。つくば事業所だけでも従業員は約200名いるため、紙による経費精算の業務負担は限界に達していました」と現場の課題を吐露する。
ERPの老朽化という技術的負債に加え、法規制への対応コスト増。この状況を打破するため、オリエンタルモーターは単なるシステムの入れ替えではなく、業務フローそのものを再定義する「経理DX」へと舵を切った。「コロナをきっかけに、紙ベースだと仕事が進まないことを感じました。システムも老朽化していたので、ここで変えようと考えました」と秋元氏。同社が長年使いつづけたERPは、多機能であるがゆえに複雑化し、小回りが利かない状態に陥っていた。秋元氏は「複雑な会計処理をしておらず、既存システムはハイスペックすぎて持て余していました。マスター管理も複雑で、変更時の影響範囲が広いことも課題でした」と説明する。
オーバースペックな既存システム、そして実務におけるデジタル化の遅れなどを解消するため、同社では製品選定を開始。これが経理DXの第一歩となった。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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