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JALインフォテックが厳しいスケジュール下で挑んだシステム刷新──次に見据える「“真”の市民化」とは

システム統合から「“真”の市民化」へ

 「オンプレミス環境の終了前に移行を完了する」という目標は無事に達成された。しかしその後、移行予定のシステムとの連携に向けて作成済みのレシピを再構築する必要性など、新たな課題が浮上したと濱本氏。JALインフォテックは現在、社内ITの大規模な見直しを構想している。刷新の対象となるのは、販売管理システムやプロジェクト管理システムなど、企業全体の基盤となるシステム群だ。

 これらのシステムはこれまで個別に最適化され、独立して運用されていた。しかし、新しいシステムではそれらを統合し、一つの基盤として再構築する計画が進められているそうだ。この統合により、システム間の連携を強化し、業務効率の向上と社員の負担軽減を実現することが目指されている。プロジェクトは現在も進行中だという。

 また、次のステップとして、「データ連携や業務プロセスの自動化を全社的に展開し、現場で自主的な活用を可能にする『“真”の市民化』を目指している」と濱本氏。この取り組みの一環として、レシピライフサイクルマネジメントの自動化を実現するWorkatoの「アクセラレーター」を採用した。このパッケージには、CI/CDや品質・セキュリティの自動チェック機能が含まれており、一から構築する手間を省きつつ、迅速かつ効率的にプロセスを進められる仕組みが整っているとのことだ。

 「こうしたソリューションを活用し、今後は各部門への展開を進めることで、社内システム部門の負担を軽減し、現場がスピード感をもって行動できる組織づくりを目指す」と濱本氏は述べる。加えて現在、Workatoやその提供ベンダーである富士ソフトと連携し、市民開発を組織に根付かせるための「GEARSフレームワーク」を活用した運用を計画中だと明かした。このフレームワークは、基盤構築、自動化カルチャーの浸透、適用範囲の拡大を段階的に進めていくものであり、真の市民化を実現するための鍵になると濱本氏は期待を寄せる。

 同氏は最後に、次のようにコメントした。

 「今回の移行プロジェクトを通じて、Workato上でのレシピライフサイクルのプロセスがどれだけ迅速に進んだとしても、現状のビジネスプロセス自体が足かせになってしまっていては意味がないと気付きました。そしてビジネスプロセスとは、私たち社員自身が変えていくものです。そのためにビジネスプロセス変革部としては、まずは変革を生み出せるような組織風土を醸成することが重要だと考えています」(濱本氏)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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