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2025年3月18日(火)オンライン開催

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2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

運用現場のモダナイズ~複雑・サイロ化への処方箋~

内製化の推進で直面するIT人材不足……オブザーバビリティを基盤にSRE実践で運用を高度化へ

第4回:SREメソドロジーの活用で切り拓く共創型ITサービス運用の時代

 エンタープライズ企業の大規模システムを支える多くのITサービス運用は、日々進化するIT技術と複雑化する業務に対応する中で、事業ごとの個別最適化や受託開発構造のブラックボックス化により、結果として全体の効率性が損なわれています。このような運用現場の課題を乗り越えるためには、オブザーバビリティを導入してITシステムを組織全体で共通となる指標で可視化し、運用にSRE(Site Reliability Engineering)メソドロジーを活用することが鍵となります。SREとは、ユーザーの満足度を最大化しながらもビジネスのアジリティを高めるというトレードオフの関係に重点を置いた、ITサービス運用の未来を切り拓くアプローチです。本稿では、筆者の実体験に基づき、オブザーバビリティとSREメソドロジーを活用して企業全体でITサービスの運用品質を向上させる共創型の手法を紹介します。

ブラックボックス化したITサービス運用の限界

 経済産業省が公表したDXレポートによると、多くの国内企業は既存システムの問題点として各事業が個別最適化を優先してきたために、企業全体の最適化が図られなかったと指摘しています。DXレポート2.1では「低位安定」という表現を用いて、委託によるコスト削減を目指すユーザー企業と、受託による低リスク・長期安定ビジネスの享受するベンダー企業の双方がデジタル時代の敗者となる危機感を述べています。

 ベンダー企業にITサービス運用を委託したことで、システム構造や業務内容がブラックボックス化され、経営のアジリティが低下することを危惧した一部のユーザー企業は内製化を推進。ベンダー企業に依存しないITサービス体制を選択しています。実際に、情報処理推進機構(IPA)が公表する「DX動向2024」では、「内製による自社開発」はすべての対象事業・システムにおいて増加傾向です。特に「アジリティ(機敏性)を重視するシステム(短期かつ継続的にリリースするシステム)」および「低コストであることを重視して導入するシステム」は顕著に増加しています。

 しかしながら、ユーザー企業が内製化を進める上での課題として、「人材の確保や育成が難しい」という回答率は87.4%と突出して高いです。2030年には最大79万人のIT人材不足が見込まれている中で、日々進化するIT技術を陳腐化させずに各ユーザー企業に適用するスキルの育成は一朝一夕に実現できるものではありません。適切な人材配置を行わない内製化は目的を見失う恐れがあるため、ベンダー企業がユーザー企業に伴走し、最新化されたIT技術を提供してビジネスの価値を向上させる共創型のITサービス運用が重要です。

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出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」

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オブザーバビリティによる可視化は単なる監視の延長ではない

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この記事の著者

竹屋 正樹(タケヤ マサキ)

 キンドリルジャパン株式会社 シニアマネージャー兼SRE 2016年、日本IBMに入社。2021年、IBM分社化に伴いキンドリルジャパンに移籍。 Infrastructure as Codeの概念に基づき、システム構築・運用業務を自動化するプラットフォームの設計・実装・運用を経験。現在はエンタープラ...

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