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VMware、ブロードコム買収後初のメジャーリリース「VMware Cloud Foundation 9.0」発表

ヴイエムウェア株式会社 カントリーマネージャ 山内光氏/同 執行役員パートナー技術本部本部長 名倉丈雄氏
(左より)ヴイエムウェア株式会社 カントリーマネージャ 山内光氏/同 執行役員パートナー技術本部本部長 名倉丈雄氏

 ブロードコム(以降 Broadcom)は6月20日、モダンプライベートクラウド向けプラットフォームとなるVMware Cloud Foundation(VCF)9.0の一般提供開始を発表した。同社によるVMware買収後の初のメジャーアップデートとなる今回のリリースでは、パブリッククラウドとデータセンターの両方の長所を融合し、「企業のITインフラストラクチャの再定義」となるものだという。

 ヴイエムウェアのカントリーマネージャーの山内光氏は、グローバルで1,800社のCIOやインフラストラクチャー責任者を対象とした調査結果を引用し、「企業のクラウド戦略に変化が見られ、現在ではプライベートクラウドが見直されている」と述べた。また、53%の企業が今後3年間の優先事項としてプライベートクラウドでの新しいワークロード構築を検討していることを説明した。

出典 ヴイエムウェア [画像クリックで拡大]

 この背景には、パブリッククラウドのコスト管理の困難さ、セキュリティやコンプライアンスへの懸念、生成AIで扱う重要データの主権性などがある。調査では、企業の60%がクラウドネイティブアプリケーションをパブリッククラウドからプライベートクラウドに移行していることも判明している。

 また、サイロの解消も重要な課題として浮上している。「プライベートクラウドを運用するにあたって一つ障害になっているのが、サイロ化された組織」と山内氏は指摘し、80%以上の顧客がこの課題認識を持ち、解消のためのプラットフォーム投資を検討していることを報告した。

 米国本社からオンライン参加したBroadcom VCF部門製品担当バイスプレジデントのポール・ターナー氏は、VCF 9.0を「15ヵ月間の継続的な開発、数百万時間もの開発工数を投入した、我々がこれまでに行った最も重要なリリースとなる」と位置づけた。Broadcomは2024年度売上高の18%を研究開発に再投資しており、これはマイクロソフトの12.5%を大幅に上回る水準である。

 VCF 9.0の機能について、ターナー氏は「単なるサーバー仮想化ではなく、IT全体の仮想化を実現する」と説明した。仮想サーバー、仮想ストレージ、仮想ネットワーキング、自動化、アジリティを統合し、開発者が迅速に作業できる環境を、主権的で安全かつ信頼できる方法で提供する。

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 管理者向けには、ネットワーキング、ストレージ、コンピュートの統合管理機能を提供し、「ワンクリックでのフルフリート管理機能により、すべてのサーバー、すべてのインフラストラクチャを一度にアップグレードし、無停止でパッチを適用できる」としている。

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出典 ヴイエムウェア [画像クリックで拡大]

 VCF 9.0は、AIアプリケーションに必要なGPUリソースの効率化にも注力しているという。ターナー氏は「AIワークロードの完全なライブマイグレーションが可能で、GPUサービスのライブマイグレーションができるのは我々だけで、ベアメタルに対して1%未満のオーバーヘッドで実現できる」と説明した。

 セキュリティ面では、統合されたセキュリティダッシュボードにより、「チーフセキュリティオフィサーの前で、プラットフォームとアプリケーションのセキュリティについて自信を持って話すことができる」環境を提供する。また、VMware Live Recoveryによりランサムウェア攻撃時にはスナップショットから過去の状態に復元でき、「時間を巻き戻し、クリーンなコピーを取得して、仮想マシンやコンテナランタイム環境を完全に復旧できる」としている。

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 コスト削減効果も顕著で、メモリの階層化により物理ハードウェアサーバーと比較して38%のコスト削減、グローバル重複排除により34%のストレージコスト削減を実現している。Broadcom社内での実装結果では、68%のインフラストラクチャ統合を達成し、全サーバーの利用率を89%まで向上させることに成功した。

出典 ヴイエムウェア [画像クリックで拡大]

 ヴイエムウェア 執行役員パートナー技術本部本部長 名倉丈雄氏は、日本でのVCF導入事例を紹介した。製造業では、グローバルでインフラ環境を本社に集約し、「コストのコントロールとセキュリティの統制を実現している」という。金融業では、VCFプラットフォーム上でセキュリティ対応をワンクリックで実行し、「システムのライフサイクルをまたいだ運用ができている」という。通信業では、ミッションクリティカルな環境でQCD(品質・コスト・納期)を維持しながら、「統一された環境で効率的な運用が可能になっている」。公共機関では、セキュリティとランサムウェア対策に重点を置いてレガシーシステムからVCF環境に移行し、「データとシステムの主権を自社でコントロールできるようにしている」と、データ主権の確保を実現している。

 VCF 9.0は、BroadcomによるVMware買収後の初めてのメジャーリリースとして、日本市場での反応が注目されるところだ。

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

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