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2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

IT部門から“組織変革”を~気鋭のトップランナーを訪ねる~

村田製作所が挑む「自律分散型DX」の現在地──80年の歴史に新たな基盤を築くDXリーダーの覚悟

大規模フルスクラッチ基幹システムを大転換へ、人材育成と基盤整備の両輪で進める変革


 製造業でDXを進めるにあたっては、「技術革新」と「組織変革」を両輪として進める必要性が多くの企業に認識されている。そうした中、村田製作所は長期構想「Vision2030」の実現に向けて、DXを経営の中核に据え、単なるシステム導入にとどまらない本質的な変革に挑んでいる。2022年から取材当時まで情報システム統括部の統括部長を務めてきた須知史行氏は、80年の歴史をもつ同社において、デジタル人材の育成とITインフラの整備を基盤に、自律分散型経営の実現を目指し、様々な取り組みの指揮を執る。進行中の基幹システム刷新プロジェクトやデジタル人材育成、製造業DXの展望について同氏に話を聞いた。

DXを経営戦略の柱に:グループ全体が連携

 村田製作所がDXを“経営課題の柱”として本格的に位置づけたのは、2021年の長期ビジョン策定がきっかけだった。須知氏は当時、経営企画部門としてビジョン策定に携わり、現在はDX推進のトップとして実行を担っている。1994年の入社以来、経理、経営企画、事業部門、シンガポール製造拠点の責任者を歴任し、31年間で会社の規模拡大とM&Aによる変化を間近で見てきた経験が、現在のDX推進に活かされていると話す。

 須知氏が(取材当時)統括する情報システム統括部は、グループ会社も含めグローバルで1,000人を超える大所帯だ。国内で約550人、海外で約500人、本体の情報システム統括部だけでも約400人の規模となっており、IT戦略からサプライチェーン、データ分析まで8部門に分かれて全社のDXを支えている。

 「DXという言葉を経営課題として打ち出したのは2021年。2030年を見据えて変えるべきものは変えていかないといけないと考え、『Vision2030』を策定しました」と須知氏は当時を振り返る。この背景には、創業者の村田家ではない外部出身者が初めて社長に就任するという大きな転換があった。2020年に中島規巨氏が社長に就任し、そこで新たな長期ビジョンを打ち出したタイミングで、ビジネスモデルの変革も明確に掲げられた。

 DX推進の必要性について、須知氏はビジネスモデルと内部プロセスの両面から説明する。ビジネスモデル面では、従来のコンデンサやインダクタといったパッシブコンポーネント(受動部品)を基盤とした1層目事業、顧客とのすり合わせを重視する用途特化型のデバイス・モジュールを基盤とした2層目事業に加え、新たな3層目事業への展開が急務となった。「3層目事業ではハードウェアにソフトウェアを組み込んだり、単発の部品ではなくソリューションという形で提供したりしています。今後は継続的にマネタイズできるビジネスモデルも含めて追加していきたいです」と語る。

新たなビジネスモデル創出に向けたステップ(村田製作所ホームページより引用)
[画像クリックで拡大します]

 一方、内部プロセス面では、既存ビジネスに最適化された仕事のやり方やプロセスを、ビジネスの多様化や既存事業の強化に向けて変革していく必要がある。須知氏が描くDXの全体像は4つの大きな柱で構成される。新たなビジネスモデルの構築に加え、既存ビジネス強化を目的としたバリューチェーンを“太く短く”する取り組み、現場力向上のための生成AIやRPAといったツールの現場展開、そしてこれらを支えるデジタル基盤の刷新だ。

 「目指しているのはデジタルツインを作っていくこと。経営の情報と現場の情報、サプライチェーンの仕入先から顧客情報までをつないでいくことによって、自律的に動いているけれど全体最適も担保できているような状態を作りたいと考えています」(須知氏)

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開発に17年かけた基幹システムを刷新した理由とは

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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