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住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書 ~停滞するデジタル変革に喝!~

JTC管理職がDXを“本能的に拒絶”してしまうのはなぜ?意思決定層のマインドを変える3つのアプローチ

第5回:マインドチェンジだけでは不十分? 持続させるルールの整備法とは

 多くの日本企業、特に規模の大きな日本の伝統的企業「JTC(Japanese Traditional Company)」では、DXが掛け声倒れに終わるケースが少なくありません。こうしたケースは多くの場合、非技術的なことで課題を抱えています。連載「住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書」では、住友生命でITプロジェクトのリーダーを務め、社内外でDX人材育成に携わる岸和良(以下、筆者)が、JTCのDXを阻む要因を紐解き、真の意味で変革を遂げるための具体的な方法を解説。第5回となる本記事では、DXが進まない“あるある要因”としてよく挙げられる“理解のない管理職・経営層”との向き合い方を解説していきます。

なぜJTCの経営・管理職は変われないのか?

 これまでの連載で、JTC型DXを推進する上で欠かせない「横の連携」「スモールDX」「実行に必要な5つのスキル」などを解説してきました。今回は全社レベルでDXを推進するために必要な経営陣や管理職の在り方について考えます。現場の担当者がどれだけ頑張っても、経営層や管理職が後押ししなければDXはうまく進んでいかないからです。

 筆者がJTCにおける多くのDX担当者と話をする中で、「DXを妨げる最大の要因は変われない上層部だ」と嘆く声を聞くことが少なくありません。そこで本記事では、なぜJTCの経営層や管理職がDXのブレーキになりやすいのかを明らかにし、筆者が住友生命で進める「Vitality」のITプロジェクトや、社外企業・自治体向けに行っているDXコンサルティング・DX研修で実践していることをベースに、上層部に必要なマインドチェンジと人事制度の見直しについて考えていきます。

 全社レベルのDX推進で最初にぶつかる壁が「管理職の理解不足・腹落ちしない問題」なのは良くあることです。たとえば、部下が新しいデジタルを使った業務プロセスを導入する提案をしても、「それはうちの業務には合わない」「前例がない」といった理由で却下されてしまうケースは少なくありません。この背景には、以下3つの構造的要因があります。

1. 過去の成功体験(勝ってきた記憶)

 JTCで中堅以上の管理職にいる層は、過去に既存ビジネスで成果を出して昇進した結果、現在のポジションに就いています。彼らはこれまで、品質や効率性を重視する“安定”こそが価値とされる環境でキャリアを築いてきたため、「慣れていない」「自分が勝ってきた領域ではない」「不確実性の高い」DXに本能的に抵抗を覚えることが多いと推測されます。

2. 人事評価が「縦方向」に閉じる構造

 JTCにおける人事評価や昇進・昇格は、基本的に部門単位の業績に紐づく形で判断されます。そのため、部門をまたぐ挑戦や長期的な取り組みは評価されにくく、部門長にとっては部下の横方向への進行は他部門への聖域侵犯という“リスクの素”になるのです。「部下は動きまわらない方が無難」という意識が働くことは想像に難くありません。

3. デジタルへの不安・無関心

 「デジタルは若い人、好きな人、得意な人がやったほうが良い」という認識は管理職層に根強く残っています。しかし、DXは経営や組織管理の問題です。経営層や管理職が「理解しようとしない」姿勢は企業経営のボトルネックになります。口では「デジタルは重要」と言っているのにも関わらず、いざ実行しようとすると協力的でなく、心の底からコミットしていない経営陣や管理職は、経営上の問題だと考えるべきです。

「重要」と言いながらDXに向き合わない経営層・管理職の実態

 加えて、多くのJTC企業の経営層や管理職は、「デジタルは重要」「新しいビジネスモデルに対応すべき」と語るにも関わらず、実際には自ら学んだり、変革に積極的に関与したりすることが少ないように感じます。それには構造的・心理的な要因があると考えています。

 最大の要因は、若い頃にデジタルがなかったことに起因する「感覚のギャップ」です。現在多くのJTC企業にいる50代以上の経営層・管理職は、インターネットもスマートフォンもない時代に仕事を覚え、“紙・電話・対面”の時代に成果を出してきた世代。このような人たちは、「デジタルは自分に縁のないもの」という認識が無意識に染みついており、「今までも何とかなったのだから、これからも自分のやり方でいいだろう」という感覚をもっているのです。

 このように過去の成功体験の延長線上にいる管理職や経営層は、頭では変化の必要性を理解していても、体では納得できないといったことが起こります。「いまさら学ぶのも面倒だし、若手がやればいい」という感情が勝ってしまうのです。

 筆者はこれまで、Vitalityのプロジェクトや社外企業・自治体向けに行っているコンサルティング、研修を担う中でこのような状況に陥っているJTCを多く見てきました。そこで解決策の一つとして有効だったのが、「わかる・できる・良かった」を実感できる場を作ることです。

 たとえば、自分が欲しいものや便利なサービス、困っていることを解消するサービスを、デジタルを使ってどのように実現できるかを考える。そして、試作品を顧客に使ってもらい喜んでもらう。それを会社の正式サービスにする。そうしたスモールな成功体験を積み重ねていくことで、真の意味で“関心”や“自信”が生まれてくるのだと思います。経営層や管理職を変えるためには、DXの新しさを押しつけるのではなく、「DXと彼らの仕事との接点に気づかせる支援」が必要なのです。

次のページ
上層部のマインドを変革する3つのアプローチ

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この記事の著者

岸 和良(キシ カズヨシ)

住友生命保険相互会社  エグゼクティブ・フェロー  デジタル共創オフィサー デジタル&データ本部 事務局長住友生命に入社後、生命保険事業に従事しながらオープンイノベーションの一環として週末に教育研究、プロボノ活動、執筆、講演、趣味の野菜作りを行う。2016年から...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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