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Security Online Day 2026 Spring

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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

なぜ今日本企業は今、「Infrastructure as Code」(IaC)に舵を切るべきか? ガートナーが明かすインフラ自動化戦略

 生成AIの登場でソフトウェア開発は劇的に変わった。ツールの進化は今も続いているが、運用への影響はどうか。コードを利用し、インフラの管理とプロビジョニングを行うInfrastructure as Code(IaC)の現状とAI適用の可能性はどこまで高まっているか。ガートナーのアナリストに聞いた。

IaCはクラウド時代の必須要件、海外先進企業はすでにその先へ

ガートナージャパン株式会社 ディレクター アナリスト 青山浩子氏

 ガートナーでは、Infrastructure as Code(IaC)を以下のように定義している。

 コンピューティング、ストレージ、ネットワークといったインフラストラクチャーの構成、設定、プロビジョニングなどをソフトウェア開発のプラクティスを用いて自動化する考え方、アプローチである。IaCは、クラウドの利用拡大に伴って必須要件になる。IaCの重要なプラクティスの1つは宣言的アプローチ、すなわち定義ファイルによるインフラストラクチャーの自動的な構築、デリバリーとテストを可能とすることである。

 ガートナーのアナリストの青山浩子氏は、「IaCの考え方は、クラウドの登場以前に提唱された『サーバーライフサイクル自動化』に近いが、より洗練されたものとして進化したもの」とし、「何よりも、デリバリーの迅速化とテストの自動化を実現するアプローチであることを理解するべき」と強調した。また、ガートナーではIaCを、「Infrastructure Platform Engineering(以降、プラットフォームエンジニアリング)」の構成要素の1つ「Reusable Infrastructure Artifacts(再利用可能なインフラアーティファクト)」の一部と位置付けている。ここでのアーティファクトとは、インフラ全体をプロダクトとみなし、セルフサービス体験を通して自動化を進めるためのアプローチの総称で、IaC以外のアプローチも含まれる。

図1:プラットフォームエンジニアリングにおけるIaC 出典:Gartner [画像クリックで拡大]

 海外に目を転じると、IaCはすでに当たり前で、その先のConfig as Code、Policy as Code、Pipeline as Codeへと、新しいアプローチの導入を進めているという。国内でも、IaCは自動化の手法の1つとして定着させた上で、Config as CodeやPolicy as Codeぐらいまでは試した経験のある企業の例が見られる。

 その多くは、ゲーム業界、コマース、ソーシャルメディアなど、クラウドネイティブなサービスインフラを運用するB2C企業だ。これらの業態では、ビジネス特性上、提供しているサービスのインフラを止めることが許されない。常に最適なものにしておく必要があるため、最新テクノロジーや自動化のアプローチの導入に貪欲である。また、一部の保険や証券の企業でも、新興FinTech企業への危機感から比較的IaCに意欲的な傾向が見られる他、最近では自動車メーカーのSDV(Software Defined Vehicle)開発の裏側でも、プラットフォームエンジニアリングの最新手法として注目が集まっているという。

なぜ日本企業は出遅れたか? HCI選択とDevOps不在の代償

 しかし、国内市場全体では、このような企業ばかりではない現状がある。「日本におけるITオペレーションのハイプサイクル:2025年」を見ると、IaCは幻滅期に位置しており、啓発期にある海外のハイプサイクルと比べると事情は大きく異なる。国内外の温度差、そして国内でも「IaCは当然」と考えている企業と「IaCとは何か?」と考えている企業に二分される現状に至った要因は大きく2つあると青山氏は指摘する。

図2:日本におけるITオペレーションのハイプサイクル:2025年 出典:Gartner [画像クリックで拡大]

 1つは、本来ならば素直にクラウドを導入するべきところに、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を選択したことだ。クラウド登場時から、変動する需要に応じてリソースを柔軟に調達できる拡張性のメリットは、日本企業にも評価されていた。ところが、ある程度の拡張性があり、運用効率が高く、かつ導入が容易なHCIならば、クラウドでなくても良いと判断してしまった。すでにクラウド管理ツールが提供されていたが、長年にわたり、インフラ運用をアウトソーシングしてきた事情もあり、自動化のメリットを見落としてしまった。

 そしてもう1つが、DevOpsの方法論を定着させる機会がなかったことだ。一般的なユーザー企業では、本番稼働後のインフラ運用は、誰かが「お守り役」を担当する傾向が見られる。だが、DevOpsのアプローチでは、CI/CDパイプラインの起点であるソースコード修正から、開発と運用の協働が求められる。自分たちのシステム資産を継続的に高度化するには、ライフサイクルの視点、何よりも作りっぱなしにしないことが重要になってきた。アジャイルアプローチを取り入れて、開発側は回り始めたのはいいが、運用側が付いていけていない。もちろん、ユーザー企業の中には、ローコード開発ツールを利用し、開発の内製化に取り組み始めたところもある。ただし、これはIT部門が把握していない事業側で進めているのではないか。IT部門がインフラ運用をアウトソーシングしてきたのであれば、次のステップで運用の自動化に目を向けても、すぐには対応できないジレンマに直面するリスクがある。

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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