ルールマネジメントによるビジネスの基盤
現地時間の5月2日、Day2のゼネラルセッションは司会のKatie Linendollの軽快な語りで始まった。Katie LinendollはCNNなどのコメンテーターでギークっぽいキャラクターで知られ、エミー賞も受賞している女性。
彼女の紹介で初めに登壇したのは、Master CardのJohan Gerber氏。開口一番に彼は自社に対する一般のイメージを覆すべく、こう語る。
「マスターカードはクレジットカードを発行している会社ではなく、数多くのビジネスと消費者をつなぐ先進的な決済機能の会社。決済の1件の処理時間は130ミリ秒以下、秒あたり膨大な情報が流れ、バックアップ、セキュリティ、データ管理は非常に強力。このパワフルなプラットフォームを支えているために採用しているのがWebSphereだ」(Johan Gerber氏)
たとえば、カードの決済における不正の検知。クレジットカードを機械にかけた瞬間に詐欺を検知し、対応するためには膨大なルールとイベントを結合した判断処理が必要となる。今回、IBMが発表するBPMソリューションの強化ポイントが、この「ルールマネジメント」であり、IBMがILOG社を買収し、WebSphereに統合し強化したポイントなのだ。
トランザクションの追求がIBMの歴史
クレジットカードの決済の信用基盤を支えるために、Master CardはIBMをテクノロジーパートナーとして選んだ。その理由は、金融分野での決済の信頼をIBMが歴史的に培ってきたことにあるだろう。続いて登壇したシニアバイスプレジデントのSteve Mills氏は、こう語る。
「IBMは100年の歴史を通じて、トランザクション処理にこだわってきた。なぜならトランザクションには、経済の価値がともなうからだ。処理のプロセスをいかに効率的におこなうか、トランザクションに失敗した時にどのようにリカバリーするか。クリティカルな処理にはミスが許されない。金融をはじめ世界の経済インフラを実現しているのはIBMだ」
Steve Mills氏は、米マリオットホテルやベライゾン、中国のチャイナモバイルなどのWebSphereファミリーの導入例を紹介。そして、「60年代、70年代に垂直的な統合で実現してきたトランザクションの堅牢性を水平的なビジネスの世界に展開すること」が、現在の取り組みであり、重要なのはトランザクションの例外処理であり、SOAによる高度な連携だという。そして今後は、こうした決済トランザクションの分野でも、クラウド、ソーシャル、アナリティクスの要素が加わっていくというのだ。