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003 高可用性を実現する11g R2の接続、サービスのアーキテクチャ

edited by DB Online   2013/01/28 00:00

第2回目は、11g R2 Oracle Clusterwareのアーキテクチャの概要を紹介させていただきました。 第3回目では、Oracle Real Application Clusters 11g Release 2 から導入されたOracle Grid Infrastructureの新機能のうち、クラスタ管理の柔軟性を高める接続やサービスに関わる機能について説明します。

1. ポリシー管理型データベースとSCAN

 11g R2のGrid Infrastructureでは、「ポリシー管理型データベース」という新しいRACデータベースの構成タイプが導入されています。 従来は、インスタンスが起動するサーバーは固定されており、インスタンスの起動数や配置先サーバーを柔軟に変更できませんでした。 「ポリシー管理型データベース」では、インスタンスとサーバーの関連付けはなくなり、インスタンスの起動数や配置先サーバーを柔軟に変更出来るようになっています。 なお、11g R2では、11g R1以前で使用されていた従来のRACデータベース構成タイプを「管理者管理型データベース」と呼ぶようになっており、「ポリシー管理型データベース」と区別しています。

 また、11g R2ではSCAN (Single Client Access Name) という新しい接続方式が導入されました。 SCANを使用すると、クラスタを構成するサーバーが増減したり、インスタンスの配置が変更されても、接続に関わる設定のメンテナンスが不要となります。従来は、これらに合わせて、クライアントとデータベースの接続に関わる設定をメンテナンスする必要がありました。

 本稿では、ポリシー管理型データベースの概要と管理者管理型データベースとの差異、 またSCANの概要とメリットについて説明します。

2. ポリシー管理型データベースとサーバープール

 クラスタ管理の柔軟性を高めるためには、データベース(インスタンス)が稼動するサーバー数を簡単に増減できる必要があります。また、インスタンスがどのサーバーで起動するかを変更できる必要もあります。 従来のRACデータベース、すなわち管理者管理型データベースでは、データベースを構成するインスタンスが特定のサーバーと密接に関連付けられているため、インスタンスが稼動するサーバー数を簡単に増減することができませんでした。また、インスタンスがどのサーバーで起動するかを簡単に変更できませんでした。

図1 管理者管理型データベースではインスタンスの動的再配置が難しい
図1 管理者管理型データベースではインスタンスの動的再配置が難しい

 一方、ポリシー管理型データベースは、インスタンスが特定のサーバーと密接に関連付けられておらず、追加したサーバーに自動的にインスタンスを構成できる機能があるため、データベースを稼動するサーバー数が簡単に増減できるようになっています。また、インスタンスがどのサーバーで起動するかを簡単に変更できます。

 インスタンスとサーバーの関連付けを排除するため、11g R2からはサーバープールという概念が用意されました。サーバープールは、概念的にはクラスタに含まれる複数のサーバーをグループ化して名前をつけたものです。サーバープールは柔軟な定義が可能になっており、サーバー名を指定せずに作成することもできます。この場合、Oracle Clusterwareが自動的にサーバープールにサーバーを割当てます。

 そして、ポリシー管理型データベースを作成する場合は、あらかじめ作成した1つ以上のサーバープールを指定します。インスタンスとサーバーの関連付けを排除するため、サーバー名は指定せず、サーバープールのみを指定します。すると、サーバープールに含まれる全てのサーバーで自動的にインスタンスが構成され、起動します。(データベースを構成するファイルの格納にASMを使用し、ファイル構成方法としてOMFを使用することが必要です)

 11g R2で提供されているサーバープールの種類は以下の通りです。

 ユーザー定義のサーバープール

 ポリシー管理型データベースを配置するために明示的に作成したサーバープール。 サーバー数の最小値と最大値、割り当ての重要度を指定します。サーバープールに含まれるサーバー名を指定することもできますが、必須ではありません。

 Genericサーバープール

 管理者管理型データベースや11g R1以前のデータベースリソースの配置に利用される特殊なサーバープール。 デフォルトで構成済みであり、削除できません。

 Freeサーバープール

 Oracle Clusterwareが動的に割り当て可能なサーバーを配置したサーバープール。 各ユーザー定義のサーバープールの優先度や最小値の値に応じて、Oracle ClusterwareがFreeサーバープールからサーバーを割り当てます。

 なお、1つのクラスタにポリシー管理型データベースと管理者管理型データベースを共存させることもできます。管理者管理型データベースを作成すると、インスタンスを構成したサーバーはGenericサーバープールと呼ばれる特殊なサーバープールに登録され、ポリシー管理型データベースでは使用されないようになります。

 Freeサーバープールはユーザー定義のサーバープールでサーバーが不足した場合に使用されます。 たとえば、図2のように、ユーザー定義のサーバープールに割当てられたあるサーバーに障害が発生した場合、Freeサーバープールに属するサーバーが追加されます。必要に応じて追加されたサーバーでインスタンスが起動され、起動インスタンス数を維持しようとします。

図2 ポリシー管理型データベースでの動的サーバー割り当て
図2 ポリシー管理型データベースでの動的サーバー割り当て

 このように、インスタンスの起動数やインスタンスが配置されるサーバーを柔軟に変更出来るようになっているため、クラスタ管理の柔軟性を高められます。

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著者プロフィール

  • 藤原 直人(フジワラ ナオト)

    株式会社 コーソル Oracleサポートグループ 中学生の頃、学校の授業で初めて触れた「コンピューター」に強い興味を持ち、大学では電子情報工学を専攻。もっと「コンピューター」全般についての知識を深めたいと考え、1997年に新卒でハードウェア保守の会社へ入社した。約4年間、フィールドエンジニアやその技術的なバックサポートを担うエンジニアとして、医療事務用コンピューターや大型複合機などの保守・サポートを担当する。技術力でお客様ビジネスを支える仕事に大きなやりがいを感じていたものの、次第にハードウェアに加えて、ソフトウェアのスキルも身に付けたいと考えるようになり、転職を決意した。ソフトウェア開発者への転身を希望していたものの、転職先でアサインされたのは携帯電話の電気的評価業務。なかなか異動も叶わず、強みを身に付けられないことにもどかしさを感じつつも、「まずはできることから」と、独学でLinuxやOracleなどの学習を始めた。Oracleについては、最初はとっつきにくい印象であったが、学ぶうちにどんどんその奥深さに魅せられ、独学でORACLE MASTER Silverを取得。「この難しいけれども奥深い技術を極め、市場価値の高いエンジニアになりたい」という明確なビジョンを抱くことができたため、2008年3月にコーソルへ転職。 コーソルでは、一貫してOracle DB製品サポート業務に従事している。入社3年目にサブリーダーに就任し、以来、チームメンバーの育成や評価なども担う。面倒見の良さには定評があり、社内セミナーの講師を務める他、「直人さんに聞けば分かる!」という評判を聞きつけた新人からの質問・相談が後を絶たない。 2009年10月にORACLE MASTER Platinum Oracle Database 10gを取得。他にもOracle Database 10g: Real Application Clusters Administrator Certified Expert(2008年12月取得)、ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 11g(2011年4月取得)など、資格取得を成長のマイルストーンにしながら、日々技術を磨いている。 プライベートでは、2人の娘の父親として育児を楽しむ傍ら、コーソルフットサルチームの代表として、社内有志と共に IT企業特有の課題である運動不足をカバーすべく練習試合をセッティング。社員同士の団結の場を設ける事で、オフタイムでの社内活性化においてもコーソルを牽引している。

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