
EnterpriseZineでは、定期的に季刊誌『EnterpriseZine PRESS 電子版』を発行しています。本ブログでは、最新号のテーマや取材背景などを紹介します。
こんにちは、EnterpriseZine編集部の奥谷です。EnterpriseZineでは、四半期に1回を目処に、季刊誌『EnterpriseZine PRESS 電子版』を発行しています。最新号のテーマは「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」。まだご覧になっていない方は、下記ページよりダウンロードできますので、ぜひご一読ください。
本ブログでは、今回の季刊誌のテーマ設定の経緯や取材で感じたことなどを紹介できればと思います。EnterpriseZineで事業会社に取材する際、その相手は大手企業のIT部門の方が主ですが、今回は「中小企業」に焦点を当てました。というのも、取材をしていく中で昨今はDX推進やセキュリティ対策の波が大企業だけにとどまらず、中小企業にも及んでいることをひしひしと感じていたからです。実際、EnterpriseZineを運営する翔泳社も社員約150名の中小企業ですが、最近は社内のAI活用がより盛んに行われるようになり、それにともなうルール整備やセキュリティ対策なども進んできています(まだまだ発展途中ではありますが……)。
【ちなみに……】
AIに焦点を当てた新メディア「AIdiver」が翔泳社から9月25日にローンチしました
そこで今回は中小企業のDX、特に「デジタル化」という言葉と簡単に結びつきづらい“老舗企業”の取り組みに着目することで、新しい発見とともに読者の方に有益なヒントを提示できるのではないかと考え、このテーマを設けました。DXが進んでいる中小企業では、社長などの経営陣が強い意志を持ち、率先して取り組みを進めているケースが多いです。そのマインドや施策の進め方は、中小企業の方のみならず、大企業でDX推進に取り組む方にとっても有益なのではと思います。
今回の特集では、長らく中堅・中小企業のDX推進を支援してきた河﨑幸徳氏や、ボトムアップ型DXを推進し、データ活用によるビジネス変革も実現している静岡の浜松倉庫、DXに前向きではなかった従業員たちの腰を“力業”で立ち上がらせ、2025年には経済産業省主催「DXセレクション」でグランプリ企業に輝いた山形の後藤組にインタビューしました。
取材を経て感じたのは、「確かなる指針なくしてDXは成功しない」ということです。河﨑氏によれば、中小企業のDX推進は「未着手」もしくは「途中段階」が全体の約3分の2を占めるといいます。多くの中小企業がDXを進められない原因は、やはり人材・情報・資金などのリソース不足。これらの課題は、中小企業だけでなく大企業の方々も同様に抱えているものではないでしょうか。
このような状況下、DX推進に成功している2社はいったいどんな方法で施策を進めたのか。取材してみると、両社とも「自社に合った方法を見極め、施策を推進する姿勢」を主軸としてDXに取り組んでいることが分かりました。
取材時、浜松倉庫の社長である中山氏が「DXにおいて重要なのはD(Digital)ではなくX(Transformation)であり、デジタル化することが目的になってしまっていては意味がない」と繰り返しおっしゃっていたことが印象に残っています。「自社がより成長するために必要な施策は何か」という問いを立ててはそれに答えていく作業を地道に続けるというプロセスは、どんな企業規模にも限らず重要な共通項でしょう。
後藤組では、はじめは“データドリブン経営”という言葉を聞いて自社にも取り入れてみたものの、「今自社にとって必要な施策ではない」と気づき方向転換を図りました。そして「業務効率化のためのアプリ開発」を軸にDXを進めた結果、数々のDXアワードを席巻しています。ここにも「自社の成長に必要な施策」を見極める大切さが表れているように思います。
今回の特集では、そんな意思をもとに両社が進めたDX推進の施策の裏側が、詳細に語られています。また、河﨑氏の記事では、DXを思うように進められない企業の方に向け、地に足着いた有効な方法論も解説されています。DXを推進されている皆さん、ぜひご一読ください。
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