SAS Institute Japanは、4月28日、TOYO TIREによる同社製品の採用と、技術開発支援の詳細を発表した。TOYO TIREは、SASのデータマイニングおよび機械学習「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」および「SAS Optimization」を採用したことで、ゴム材料の特性予測技術や材料構造の最適化技術開発を加速化できるようになった。
TOYO TIREは、ゴム材料をナノ(分子)レベルで観察、予測、機能創造、精密制御することによって、理想的なゴム材料開発を実現する基盤技術「Nano Balance Technology」を開発し、商品群への市場投入を行っている。そのうえで、「Nano Balance Technology」の開発における技術者の経験値と、繰り返し行う実験のさらなる高度化への取り組みとして、保有データを最大限有効に活用できる環境を整備しようとしていた。
従来の材料開発プロセスは、研究者が材料調査から仮設を立てて、実験シミュレーションを実施していたため、開発時間の制約や属人化といった課題を抱えていた。
そこで両社は、SASのAIや機械学習などを用いた「マテリアルズ・インフォマティクス」を導入することで、ゴム材料に関するさまざまな情報をデータ化し、SASのAIやビッグデータ解析技術をTOYO TIREの材料開発業務に適用。材料機能の予測や新材料・代替材料の探索を効率化し、材料開発期間の短縮化を実現している。また、それらの結果もデータとして蓄積し、再帰的に次の材料開発に活かせるよう予測モデルやデータ基盤を構成した。あわせて業務の標準化を推進し、人材育成やさらなるデータ整備、モデルの高度化を継続的かつ組織的に取り組んでいくことを可能にした。
さらにSASは、これまでAIの適用が困難だったSMILESなどの化合物構造情報を活用することで、目的とする物性に近い化合物候補の自動生成を実現した。TOYO TIREの材料開発における材料機能の予測や新材料・代替材料の効率的な探索を、SASのディープラーニング技術による材料特性の推測により実現している。
この新技術は、さらに所望の特性値から構造を最適化する逆問題にも応用でき、新材料の開発領域拡大につながる。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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