シトリックス・システムズ・ジャパンは8日、Webアプリケーションの配信を高速化するアプライアンス製品「Citrix NetScaler MPX」のラインナップを拡張すると発表した。今回新たに追加されたのは、中規模~大規模企業を対象とした「MPX 9500」「MPX 7500」と、中小企業を対象とした「MPX 5500」の3製品。
「従来の製品群では、コンシューマ向けWebアプリケーションやクラウドサービスなどを提供する事業者を主なターゲットとしてきたが、昨今はエンタープライズアプリケーションでもWebを利用する機会が増えている。新しいニーズに対応するべく、新バージョンのリリースに至った」(シトリックス・システムズ・ジャパン ビジネスディベロップメント シニアマネージャー 村上氏)
NetScalerは、Webアプリケーションの最適化などを図るアプリケーション・デリバリー・コントローラーと呼ばれるアプライアンス製品。コンテンツの複雑化、双方向・非同期通信、長時間にわたるセッション維持などインターネットの普及とともにWebアプリケーションに関わる負担は増大している。「単純なサーバ台数だけではなく周辺機器の増加を考えると、ユーザの想像以上に管理者は多くのコストを負担している」(村上氏)
こうした状況を受けて、注目を集めているのがアプリケーション・デリバリー・コントローラーだ。従来のネットワークにおけるロードバランサーに置き換える形で導入すると、コンテンツのキャッシュやデータの圧縮技術などを駆使して、Webアプリケーションの配信効率を最適化する。NetScalerでは、ファイアウォールやSSLといったセキュリティ技術もアプライアンス内に取り込んでいるため、ネットワーク管理の包括的な省力化が実現できる。
今回発表されたMPX 9500、MPX 7500、MPX 5500の3製品では、マルチコアCPUに最適化したアーキテクチャ「nCore Technology」を採用し、クラウド時代の処理負荷に備える。サポートウェアは、「NetScaler Version8.1 and Version9.1(2009年6月30日リリース予定)以降をサポートする。受注開始は6月8日から。希望小売価格は、MPX 5500が198万円~、MPX 7500が363万円~となっている。
シトリックスは同日、MPXとほぼ同等の機能を提供するソフトウェアベースの仮想アプライアンス「NetScaler VPX」をリリースした。VPXの最大の特徴は、XenServerによる仮想化環境で稼動すること。PaaSのようなイメージで、オンデマンドでロードバランサーの機能を提供するといったクラウド時代らしい新たなサービスの提供も期待できるという。「MPXとVPXは補完関係にある。双方を有効に組み合わせて、クラウド時代に適したデータセンターの構築をして欲しい」と村上氏は述べる。