2025年3月7日、オープンは、高知県高知市におけるRPAツール「BizRobo!」の導入事例を発表した。
職員約4,500人が従事する高知市役所では、庁内DXの加速化を目的として2024年度に「DX推進課」を新設。課の新設にともない、庁内の全112課からDX推進員を集め、その人数は173名にのぼるという。その活動の一環としてRPAツールの検討が行われ、庁内ではまずクライアント型ツール「BizRobo! mini(ガバメントライセンス)」を導入。全庁展開に入った2022年度からは、大規模運用向けのサーバ型ツール「BizRobo! Basic」に移行したとのことだ。
同市では現在、人事・財政など15課の28業務でBizRobo!が稼働。RPA化の対象業務選定は、自動処理によるリソース創出効果や、横展開による効果上積みの余地などを基準に、DX推進課が行っているという。その中でも市長部局が開発するロボットの多くは、他部局への転用も想定するほか、繁忙期の業務平準化や時間外勤務の抑制につながる業務について、特に優先して自動化を進めているとのことだ。
具体的な自動化事例として、人事課では職員研修の対象者および所属長に対する日程などの通知を、紙の送付からロボットによる自動送信メールに変更。また防災政策課では、災害対策本部要員への辞令書を、紙の交付からPDFの自動送付に切り替えたとしている。

また、職員研修対象者への通知業務では、紙による通知作業をメールに変更したことにともない、最大3日を要していた作業時間を100分に短縮し、さらに送信作業の大半を自動化したことで、手作業を5分にまで圧縮したという。
災害対策本部要員の発令では、幹部出席の発令式を行った後、印刷・封入した紙の辞令書を対象職員1,300名に送っていた慣例を改め、各職員宛の辞令書をPDF化したうえでメール添付し、RPAで自動送信する方式に変更。この業務見直しによって、準備などにかかる時間外勤務を、従来の半分程度に抑制しているとのことだ。
同市では、業務効率化に対する職員の関心が高まっており、非効率だと感じている業務について「紙台帳の運用」「Excelシート間の転記作業」などの8類型で各課に抽出を求めたところ、既に214件が集まっているという。ほかにも、研修を通じた業務改善案の収集、庁内のノンコア業務を割り出す調査を実施しており、DX推進課は各種デジタルツールを活用しながら順次デジタル化を進める計画だとしている。また、今後はロボット開発実績を増やしながら、RPA開発を担う職員の庁内育成にも着手したいと考えているとのことだ。
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