レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(以下、レノボ)は2026年10月15日、記者説明会を開催し、企業のAI実用化を支援する新プログラム「Lenovo AI Express」を発表した。
同プログラムは、構想から本番運用までの期間を短縮することを目的とし、検証済みの構成とサービスを包括的に提供するものだ。会見には同社 代表取締役社長の張磊(チョウ ライ)氏、製品企画部 部長の櫻井義士氏、ISGプロフェッショナルサービス本部 本部長の野上友和氏、Japan ISG CTOの早川哲郎氏が登壇した。
近年、多くの企業で生成AIや推論モデルの導入意欲が高まる一方で、構築の複雑さや調達納期の長さが導入の障壁となっている。レノボはこの課題に対し、需要予測に基づくサプライチェーンの最適化と標準化構成パッケージを提示。注文から最短15〜25営業日での出荷を目標に掲げ、中小企業から大企業までのAI展開を強力に後押しする方針を示した。
説明会で張氏は、2017年の機械学習から始まった同社のAI戦略を振り返り、「レノボは『Smarter AI for All』というスローガンのもと、すべての人にAIの恩恵を届けることを目指してきた」と強調。しかし現状、多くの企業が、複雑さやコスト、納期の見通しが立たない不安からAI導入を躊躇していると説明する。張氏は「企業の皆さんが直面する最大の課題は、導入の複雑さとリスク、そして注文しても数ヵ月待たされるという納期問題である。これを解決し、AIの価値とビジネス課題の解決を迅速に支援したいという思いからAI Expressを立ち上げた」と述べ、ハードウェアだけでなくサービスやエコシステムを含めた包括的な支援を提供する姿勢を明らかにした。
続いて登壇した櫻井氏は、Lenovo AI Expressの具体的な構成とメリットを説明した。同プログラムでは、用途や規模に応じて「Small」「Medium」「Large」の3つの検証済み構成パッケージを用意。小型構成のSmallはAI推論向けにNVIDIA RTX PRO 6000を2基搭載し最短15営業日、中型のMediumは高スループット推論やエージェント型AI向けに同GPUを8基搭載し20営業日、大型のLargeはフルスケールの生成AIモデル向けにNVIDIA HGX B300 NVL8を搭載し25営業日での出荷を目標とするという。これらの迅速な供給を支える基盤として、櫻井氏はグローバルで30以上の製造拠点を有するサプライチェーンの強みを挙げ、「構成や部品を標準化し、需要予測とグローバルな製造能力を組み合わせることで出荷期間を短縮している」と解説した。
運用支援体制については野上氏が説明し、設置から最適化、稼働支援までを網羅する4つのサービスオプションを提示した。野上氏は「AIサーバーは大型化しており、特に大型GPUモデルは重量が100kgを超えるため、人力での作業は推奨されない。我々の専門チームがリフトを用いた物理的な設置作業からOSの動作検証までを責任を持って支援する」と現場の課題に即したサポートの重要性を指摘。具体的には、設置作業を中心とする「Standard Deploy」に加え、統合試験やドキュメント作成を行う「Premier Deploy」、導入後1年間のヘルスチェックを含む「Premier Deploy Plus」を提供するという。さらに、90日以内での実稼働を目指す「AI Fast Start」プログラムを通じ、運用初期における不安を解消する体制を整える。
質疑応答において、安全保障やデータ主権の観点からの需要について問われた早川氏は、「データが発生する場所でAIを実行することが最も効率的である。必ずしもクラウド一辺倒ではなく、セキュリティや業務継続性の観点からオンプレミスやエッジにAI基盤を保持する需要は今後一層高まる」と見解を述べた。
また、納期目標の確実性について張氏は、エンドユーザー証明(EUC)などの輸出承認手続き完了を起点とすることを前提としつつ、「社内の事前確認プロセスを提案活動と並行して進めることで、注文後の手続時間を最小化できる。企業が最も苦しんでいる導入の手間と納期を解消するため、エンドツーエンドでの支援を強化していく」と述べた。
レノボは今後もインフラ供給からプロフェッショナルサービスまでを一体で提供し、実用的なAI環境の構築と迅速な価値創出を主導していく構えだ。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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