レノボ・ジャパンは5月28日、2026年度事業戦略説明会を開催し、AI時代における事業の方向性と目下の課題に対する同社の取り組みを説明した。
同社 代表取締役社長の檜山太郎氏は、今後のAI活用の方向性として「Smarter AI for All」というミッションを掲げる。AI市場は「学習」と「推論」という2つの大きなトレンドに分かれており、今後は現場のデバイスやオンプレミス環境で展開される推論領域が急速に拡大していくことが見込まれるとして、「我々はポケットに入るデバイスからクラウドまで包括的な製品ポートフォリオを構築し、多様な顧客要件に対応する体制を整えている」と強調した。
一方で、AIの急速な普及により、国内企業や産業界はいくつかの深刻な制約に直面しているとして以下3つの課題を挙げ、これらの課題解決に向けてソリューションを提供していくとした。
- 半導体などの部材の不足と、それにともなう調達コストの構造的な高騰
- データセンターにおける電力消費の劇的な増加
- IT部門のリソース不足
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの張磊氏は、部材コストの高騰と供給の遅延に対する取り組みとして「Top Choice Express(TCE)」を挙げた。これは、市場における売れ筋のサーバー構成やオプション部品をあらかじめ厳選し、レノボの工場に常時在庫として確保するシステム。標準的な構成に部品を集約して調達数量を拡大することでコストの上昇を抑制し、オーダーから10営業日以内を目標とした短納期出荷を実現しており、昨期の達成率は約70%に達しているとした。
さらにレノボ・ジャパンの山口仁史氏は、IT予算の制約や初期投資の負担を軽減するアプローチとして、月額料金制のサブスクリプションモデル「Lenovo TruScale」を挙げる。サーバーやストレージなどのハードウェアインフラ(IaaS)だけでなく、PCなどのクライアントデバイス(DaaS)にいたるまで、使用したリソースに応じた従量課金制での導入が可能になるという。これにより、企業は初期支出を抑えつつ、AI導入におけるトライアンドエラーを機動的に実行できる環境を整えられるとした。
また、企業のIT部門が直面する運用負荷とリソース不足を解消する取り組みとして、日立製作所がグローバルにおけるPC調達および運用の最適化を目的に「Lenovo TruScale DaaS」を採用したことが発表された。日立グループは2028年度までに、グローバルのグループ企業向けに最大約17万3000台のPCを調達する計画を進めており、これにはサードパーティー製品も含めた一括調達が適用されるという。
レノボは100ヵ国以上で対応可能なグローバル供給力と、日立向けにカスタマイズされた専用の運用管理体制である「セントラルオペレーション」を構築する。専任のサービスデリバリーマネージャー統括のもと、ポータルサイトでの事務手続き代行や日立の社内システムの操作、ヘルプデスク業務にいたるまで、従来顧客側が負担していたデバイスのライフサイクル全般(調達、配備、保守、サポート、廃棄)の業務をレノボが一元的に管理・提供するという。
データセンターの電力消費と発熱の問題に対しては、同社独自の直接液冷技術「Lenovo Neptune」が紹介された。これは、有害な化学物質を含まない純水を循環させ、45°C以上の温水による冷却を可能にするもの。これにより、システムから発生する熱を約95%の効率で除去し、データセンター全体の消費電力を最大40%削減できるという。
また、回収された熱エネルギーは他の目的に再利用することも可能。19インチラック1台未満の規模からスーパーコンピューターにいたるまで柔軟にスケールを調整できる設計が特徴だとしている。
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