IDCでは、サーバー、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器およびソフトウェアの組み合せをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージをインテグレーテッドシステムと定義している。
さらに、インテグレーテッドシステムをインテグレーテッドプラットフォームとインテグレーテッドインフラストラクチャに分類している。
2014年の国内インテグレーテッドシステム市場の規模は393億7,500万円
2014年の国内インテグレーテッドシステム市場は393億7,500万円、前年比成長率は15.5%で、2013年の84.4%に比べると成長率は大きく下がった。
製品分類別でみると、インテグレーテッドインフラストラクチャがインテグレーテッドシステム市場全体の44.9%に当たる176億9,600万円、インテグレーテッドプラットフォームが同市場の55.1%に当たる216億7,900万円となった。
インテグレーテッドインフラストラクチャの成長率は、2013年は272.2%増でしたが、2014年は8.0%増にとどまりまった。インテグレーテッドプラットフォームの成長率は、2014年も2年連続で20%台を維持した。なお、2019年におけるインテグレーテッドプラットフォームの構成比は、2014年の55.1%から、65.3%に上昇すると予測している。
インテグレーテッドインフラストラクチャの成長率が、プラスとはいえ2014年に大きく落ち込んだ背景に、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)用途での採用機会の減少があるとIDCではみている。
「インテグレーテッドインフラストラクチャに対するニーズが世界市場に比べて弱い」
Windows XPのサポート終了への対策として、2014年3月まではVDI用にインテグレーテッドインフラストラクチャを活用するケースが多く報告された。インテグレーテッドインフラストラクチャ採用のメリットである「サイジングやシステム構成などといった導入までにかかる工数の大幅な削減」が高く評価されていた。
しかし、「Windows XPサポート終了への対応」といった特需が過ぎ去った後、採用機会が減ったと考えられる。
また、インテグレーテッドシステム市場全体に占めるインテグレーテッドインフラストラクチャの出荷額構成比を、国内市場と世界市場で比較すると、世界市場の方が国内市場よりもインテグレーテッドインフラストラクチャの構成比が高い状況にある。2014年における同構成比は、国内市場が44.9%、世界市場が62.6%。
IDC Japan サーバーグループマネージャーの福冨里志氏は「国内市場ではインテグレーテッドシステム、特にインテグレーテッドインフラストラクチャに対するニーズが世界市場に比べて弱い。ITサプライヤーが自ら産業特化型ソリューションによる需要を創出することが不可欠である。中長期的にインテグレーテッドシステム市場で成功するために、パーベイシブロボティクス、ナチュラルインターフェース、3Dプリンティング、IoT(Internet of Things)、認知システム、次世代セキュリティソリューションといったイノベーションアクセラレーターを活用することで市場を活性化する必要がある」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行した「国内インテグレーテッドシステム市場2014年の実績と2015年~2019年の予測」にまとめられている。