2017年第2四半期の出荷台数は前年同期比10.4%増の1,190万台
2017年第2四半期の国内モバイルデバイス出荷台数は、前年同期比10.4%増の1,190万台となった。これは家庭市場の中心であるスマートフォンやタブレット、ビジネス市場中心のPCの出荷がプラス成長になったことが大きな要因だ。スマートフォン市場は、ビジネス市場へのスマートフォンの導入が進み始めたことや、Android端末の通信事業者向け出荷が好調に推移したことによって、前年同期比9.1%のプラス成長となった。
また、PC市場も全体として2.5%のプラス成長となった。PCは、学校や自治体などでのネットワークの強靱化に伴うPCの入れ替えや、中堅中小企業向けの出荷が好調に推移したことで、ビジネス市場では前年同期比1.8%増と出荷を伸ばした。
家庭市場向けPCも、家電量販店での在庫整理がある程度一段落したことにより、前年同期並みの出荷となった。タブレットは、家庭市場向け出荷が市場を牽引したことで、前年同期比27.5%のプラス成長となった。家庭市場向けタブレットでは、通信事業者向け出荷が好調に推移し、同市場向け出荷は過去最高の出荷台数となった。
しかしながら、ビジネス市場向けは、学校向けタブレットは好調に推移したものの、B2B2C案件の減少や企業におけるポータブルPCとの競合、タブレット需要の低さから、2013年レベルの低い出荷台数となった。
2017年通年のビジネス市場向け出荷は14.8%増の1,190万台と予測
2017年通年の国内モバイルデバイス市場は、前年比10.1%増の5,344万台と予測している。家庭市場向け出荷は前年比8.8%増の4,154万台、ビジネス市場向け出荷は14.8%増の1,190万台と予測している。
スマートフォン市場は、ビジネス市場向けおよび家庭市場向け共に従来型携帯電話からAndroidベースの携帯電話への切り替えが進むことで、プラス成長が予測される。PC市場は、家庭市場の落ち込みは2016年で底打ちをし、PCは家庭でも必要な機器であることから2017年以降緩やかなプラス成長が予測される。
PCビジネス市場では、2020年のWindows 7のサポート終了に向けたWindows 10への切り替えおよび、買い替えサイクルによって2019年まで成長が続くことが予測される。またタブレット市場は、今後も通信事業者向け出荷が市場を牽引するビジネスモデルは継続されると考えられ、家庭市場を中心に市場が維持されると予測される。
しかしながら、ビジネス市場では生命保険会社でのタブレットの入替えや、学校案件などによって市場が底支えされるが、企業でのタブレット需要はPCとの差別化が進みにくい状況が続き、需要が減少すると予測される。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は「モバイルデバイス市場全体の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は2.1%と予測している。家庭市場は、スマートフォンやタブレットなど通信事業者経由での出荷が中心となるビジネスモデルは今後も続くことが予測され、これによって市場は牽引されると考えられる。一方ビジネス市場の中心はPCであり、企業では現在Windows 7からWindows 10への切り替えの評価段階にある。今後この評価が完了する企業が増えることで、PCの買い替えが進むと考えられる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内モバイルデバイス市場 2017年第2四半期の分析と2017年~2021年の予測」にその詳細が報告されている。