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2020年までに企業の75%はI&Oのスキル・ギャップによりビジネスの破壊的変化を経験する――ガートナーが見解発表

  2018/04/09 15:00

 ガートナーは、インフラストラクチャとオペレーション(I&O)のスキル・ギャップに、3分の2の企業が適切に対応できていないとの見解を発表した。こうしたスキル・ギャップは、デジタル・ビジネスへの取り組みの妨げとなる。I&O部門が成功を収めるためには、従来とは大きく異なる役割とテクノロジを今後5年間で導入する必要があるという。

IT技術スペシャリストの採用は減少し、ITスタッフが複数の役割を担うようになる

 ガートナーは、2019年までにIT技術スペシャリストの採用が5%以上減少すると予測している。さらに、2021年までにITスタッフの40%が複数の役割を担うようになり、そうした役割の大半はテクノロジよりもビジネスに関わるものだとしている。

 ガートナーのリサーチ ディレクター、ハンク・マルキス氏は「従来I&Oリーダーに成功をもたらしてきた要因と、今後I&Oリーダーを成功へと導く要因は異なります。I&Oリーダーは、技術的な知識や教育、研修といったI&Oの職務内容(what)ではなく、求められる行動面のコンピテンシという方法(how)に焦点をシフトさせる必要があります」と述べている。

 マルキス氏によれば、ITオペレーション(運用管理)を担っている部門は、技術の提供者(テクノロジ・プロバイダー)という従来の役割と価値定義を見直し、信頼されるアドバイザーになると同時に、差別化されたビジネス・パートナーとなる必要に迫られている。ここで課題となるのは、今後企業が求める幅広いスキルセットを、ほとんどのI&Oプロフェッショナルはまだ持ち合わせていないということだ。

 2020年までに企業の75%は、I&Oのスキル・ギャップにより、目に見える形でビジネスの破壊的変化を経験するとガートナーは予測している。これは2016年時点の20%未満から増加している。

 デジタル・デクステリティ(ビジネス成果の向上を目指して既存テクノロジと先進テクノロジを活用する意欲や能力と、デジタル・テクノロジを使いこなせる環境)を有する人材が市場に不足している現状を踏まえると、I&Oリーダーは社内の人材のスキルを開発することから始めなければならない。ほとんどの企業は既存のIT人材が有するスキルについて正確な棚卸しを行っていないため、現有スキルを把握することが最初の一歩となる。

 マルキス氏は、「こうしたスキル・ギャップを埋めるため、いずれはデジタル・ビジネスに向けたコーポレート・ユニバーシティが出現するでしょう。個人の能力開発では、I&Oのための、またI&O部門内における、正式なメンタリングを通じた経験ベースのキャリア・パスが標準的になると予想されます。それまでの間、I&Oリーダーは人事部門と連携して、ポジション・ベースの能力開発から脱却し、戦術的なスキル・ギャップ分析を実行し、さまざまなツールと手法を活用して、社内のI&Oスキルを高めなければなりません」と述べている。

スキル・ギャップは先進テクノロジだけでなく管理面でも発生

 また、マルキス氏は次のようにも述べている。「デジタル価値を大規模に実現するには、適切な人材をそろえることが重要です。人材には、必要なスキルだけではなく、既存テクノロジと先進テクノロジの両方を学び使いこなしていく意欲と能力が求められます」。

 2020年末まで、ITサービス管理における人工知能(AI)イニシアティブの99%が、確立されたナレッジ・マネジメント基盤の欠如により失敗に終わるとガートナーは予測している。

 ガートナーの主席アナリスト、クリス・マチェット氏は、「消費者が会話型プラットフォームを使った仮想アシスタントに慣れ親しむようになったことで、AIに対する過度な期待もいっそう高まっています。ITサービスデスクを管理するI&Oリーダーは、AIを活用したITサポートの最適化に期待を寄せていますが、実際にはAIのテクノロジもサービスデスクの現場も、仮想エージェントに頼れるところまで準備が整っていません」と述べている。

 ナレッジ・マネジメントは、チャットボットや仮想サポート・エージェント(VSA)がビジネス・ユーザーからの質問に回答する上で不可欠だが、静的なナレッジ・ベースから収集された既存のデータを基にしている場合、その回答はスクリプト化された解決策を繰り返すだけということもあり得る。VSAは豊富なナレッジ・ベースにアクセスしなければインテリジェントに対応することができないため、I&Oリーダーは、ナレッジ・マネジメント・イニシアティブを確立あるいは改善しなければならない。

 チャットボットやVSAテクノロジを導入する前に、重要な資産の1つとしてナレッジに重点を置いた、ナレッジ中心型サービスをはじめとする手法を活用して、ナレッジ・マネジメントの基盤を確立することをガートナーは推奨している。

 チャットボットとVSAの運用を始めた後は、ナレッジに基づく対応では問題解決に至らない場合に従来のチャネルへ自動的にエスカレーションすることで、会話が行き詰まることのないように配慮しなければならない。また、ロジックもチャットボットに組み込んで、ユーザーからのフィードバックを収集し、ナレッジに基づく対応の妥当性を判断する必要がある。

 なお、4月25~27日に東京で開催される「ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント&データセンター サミット 2018」では、前出のマチェット氏ならびにガートナーの国内外のトップ・アナリストが、デジタルがもたらす「破壊」の側面にフォーカスし、ITインフラとオペレーション、さらにはイノベーションの観点から、最新の調査結果や事例を基に知見を提供するという。

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著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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