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どこにデータがあってもAIが利用できる―IBMのWatson Anywhereコンセプト


 IBM Think 2019では、AIの技術をエンタープライズのビジネス現場で実際に活用することについて多くの言及があった。多くのAI、機械学習の技術が提供されているが、それらがビジネス現場で実際に活用されている事例はまだそれほど多くない。そんな中、すでにビジネス現場で数多くの実績があるのがWatsonだ。

データをAI活用の仕組みの中に組み込む

IBM Analytics ゼネラル・マネージャー ロブ・トーマス氏
IBM Analytics ゼネラル・マネージャー ロブ・トーマス氏

 「AIはマジックではありません」―そう語るのは、IBM Analyticsのゼネラル・マネージャーでデータとAIの分野を担当するロブ・トーマス氏。Watsonで実現しているAIは、エジソンが発明した電気のようなもの。企業が業界の中で変化することに対し大きなインパクトを与えているのがAIだ。2030年までにAIがGDPに与える影響は16兆ドルほどにもなるとの予測もある。

 AIをビジネス現場で活用するには、Prediction(予測)、Automation(自動化)、Optimization(最適化)の3つが大事になる。AIは段階を追って発展させ効果を発揮していくものであり、そのためには健全なインフォメーション・アーキテクチャなしでは実現できないものだとトーマス氏。インフォメーション・アーキテクチャの中で、データを活用しAIの仕組みに組み込めるかが重要になる。

 このデータの取り扱いとAIの仕組みを1つにしているのが、IBM Cloud Private for Dataだ。これを使えば複数のデータベースのデータをソースとして選べば、選ばれたデータの内容を見て自動でテーブルを結合してくれる。その仮想のデータベースのビューを使って、簡単にデータの分析結果の比較などが可能だ。分析結果から、データに何らかバイアスがかかっている可能性など示すことができる。そのバイアスの原因を深掘りして調べることも容易だ。

 「複数のデータソースから、仮想化してすぐにデータを表示できます。それが1つの画面野中でできる。こんなツールは今までありませんでした。データソースは、複数のクラウドにまたがっていても問題ありません。そういったデータに対して、AIを適用できるのです。これはAIをビジネス現場で活用する上では重要なことになります」(トーマス氏)

Watsonをデータのあるところの近くどこでも利用できるように

 業界によっても違えば、同じ企業でも部門によってAIの適用方法は変わってくる。そのために、AIはさまざまな形で使える必要がある。基本的には、データを移動させるのではなく活用したいデータがある近くでAIを使えるほうが良い。これを実現するために今回IBMでは、「Watson Anywhere」というコンセプトを打ち出した。これはIBMのAI技術であるWatsonを、どこでも使えるようにするものだ。

 「世界のどこでもWatsonが使えます。データのあるところで使える。そうなればデータはより活用できるようになります。どのようなパブリッククラウドのサービスでもWatsonを使うことができます。Watson Anywhereで、AIへのアクセスを民主化するのです」(トーマス氏)。これを実現するためにIBMではWatsonの機能をKubernetesのコンテナベースの仕組みにしたのだ。これによりオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドのどこであってもWatsonサービスを利用できるのだ。

 さまざまな環境でWatsonのAIインスタンスを動かす際に、それらを管理するオープンなAIプラットフォーム「Watson OpenScale」も提供する。Watson OpenScaleを使うことで、AIの適用かで得られた答えがどのように導かれたかをリアルタイムで把握し、なぜその結果が出たかの説明を得ることができる。AIのビジネス現場での活用では、こういった透明性やコンプライアンスを高めることが重要になるのだ。

 また、アプリケーションとデバイスに会話型インターフェースを組み込むためのAIツール「Watson Assistant」も新たに提供する。これは従来のチャットボットより高機能なもので、分析の結果を検索したり、ユーザーに説明したりできる。さらにユーザーへの対応を、Watsonから人へと切り替えるべきかどうかの判断も可能だ。Watson AssistantのDiscovery Extensionは、企業の非構造化データやドキュメントに潜むインサイトを見つけ出すことができる。他にもIBMでは、Watson Knowledge StudioやWatson Natural Language UnderstandingなどのサービスをICP for Dataに追加していく予定だ。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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