雇用不安がアメリカ全土を覆い尽くす
オバマ大統領誕生に沸く米国だが、景気後退からリストラを進める企業の動きは依然として止まらず、人員削減も一層深刻化している。シリコンバレーのIT企業も例外ではなく、大規模なレイオフが進行中だ。
労働統計局がまとめた資料によると、2008年12月の全米失業率は7.2%を記録し、この10年間で最悪の数値となった。06年、07年を通じて4%台で推移していた失業率だが、金融危機に端を発する不景気の影響が現れ始めた昨年春から悪化の一途を辿り、ついには7%の大台を突破した。
特にレイオフ(一時解雇)による失業者が増えていて、昨年12月だけで1500人以上が該当。通年では1万4000人を超えるなど、こちらも過去10年間で最悪の数値だ。州別に見た失業率では、自動車産業の町デトロイトを抱えるミシガン州が12月に二桁の失業率を記録するなど深刻な状況だが、シリコンバレーを抱えるカリフォルニア州も9.3%と高い数値を残している。
レイオフや倒産の波はすべての業種にわたって現れている。General Motorsを始めとする米自動車メーカーの経営難は日本でも大きく報道されているが、その他にも家電量販店2位のCircuit Cityが破綻し、3万人が職を失った。百貨店チェーンの大手Macy’sも7000人のレイオフを決定した。金融機関が集まるニューヨークのウォール街では、4万人がレイオフされる可能性が指摘されている。
シリコンバレーのハイテク企業のレイオフも、ここに来て一段と加速中だ。CNETがまとめた一覧によると、5000人以上の人員削減を決めた企業だけでも数が多い。ざっと眺めただけでも、HP 24600人(今後3年で)、Dell 8900人、Sprint Nextel 8000人、San Microsystems 6000人、Philips 6000人、Ericsson 5000人、Microsoft 5000人―などが目に飛び込んでくる。それ以下の規模や、今後予想される削減を含めれば相当な数になるだろう。
シリコンバレーではドットコムバブルが弾けた当時は20万人が職を失ったといわれる。昨年は1万人程度にとどまったが、先にあげた数字を見ても、今年はレイオフが拡大するのは目に見えている。しかも、どこまで増えるのか予想がつかない。