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Nutanixはアプライアンスからソフトウェア、そしてサブスクリプションへ、強みはシンプルなアーキテクチャ


 ハイパーコンバージド・インフラ市場において、アプライアンス、ソフトウェア、さらにサブスクリプション型のライセンスへとビジネスを変化させたNutanixについて、CEO、CTO、日本の社長に話を聞いた。

ニュータニックス・ジャパン合同会社 コーポレートバイスプレジデント 兼 社長 町田栄作氏/Nutanix 最高技術責任者のラジブ・ミラニ氏/代表取締役会長 兼 CEOのディラージ・パンディ氏

ニュータニックス・ジャパン合同会社 コーポレートバイスプレジデント 兼 社長 町田栄作氏/Nutanix 最高技術責任者のラジブ・ミラニ氏/代表取締役会長 兼 CEOのディラージ・パンディ氏

 IT業界ではハードウェアのビジネスは縮小傾向にある。しかしながら、ハイパーコンバージド・インフラのビジネスは順調に成長している。ハイパーコンバージド・インフラ市場において、当初はハードウェア・アプライアンスを提供し、そこからソフトウェアの提供、さらにサブスクリプション型のライセンスへとビジネスを変化させたのがNutanixだ。国産サーバーメーカーも、ハイパーコンバージド・インフラのためにNutanixを採用している。

 Nutanix 創立者で代表取締役会長 兼 CEOのディラージ・パンディ氏、そして最高技術責任者のラジブ・ミラニ氏に、これまでのビジネスの変遷と今後の戦略について、さらに日本における戦略についてニュータニックス・ジャパン合同会社 コーポレートバイスプレジデント 兼 社長の町田栄作氏に話を訊いた。

ベアメタルサーバーを抽象化してどこでも同じNutanixが動くようにする

Q:Nutanixではハイパーコンバージド・インフラのハードウェア・アプライアンスの提供からビジネスを始め、ソフトウェアの提供、さらにはサブスクリプション型ライセンスのビジネスモデルに変化しています。なぜ、このようにビジネスを変革させてきたのでしょうか。

パンディ氏:顧客企業と同じように、Nutanix自身がデジタル変革に取り組んできた結果です。企業はハードウェアからソフトウェアを選ぶようになり、さらにサブスクリプション型のライセンスを利用するようになっています。我々はハードウェアからソフトウェアへの変化で、まずは市場規模を広げることができました。さらには柔軟性を求める市場ニーズにも応えられるようになったのです。

 日本でも富士通や日立などのハードウェアと一緒にして出すことで、クラウドテクノロジー・ベースのシステムを市場に提供しやすくなりました。その上でサブスクリプション型に移行したのは、デジタル変革のジャーニーにおける次のステップに進むことを意味しています。これからはクラウドのように使えることを顧客が求めており、ベンダーとの信頼の構築でも継続性が求められているのです。

Q:ところでここ最近は、マルチクラウド、ハイブリッドクラウドがIT業界の新たなキーワードになりつつあります。Nutanixでもこれらに対応する戦略をとっています。ハイブリッドクラウドのコンセプトやメリットは理解できるのですが、その環境を実現して上手く運用するのはそう簡単ではないでしょう。Nutanixでは、市場のマルチクラウド、ハイブリッドクラウドのニーズをどのように捉えていますか。

ミラニ氏:マルチクラウド、ハイブリッドクラウドについては、技術的な壁を越える必要があります。しかしながら、これらを実現する上での本当の難しさの問題を、現状では避けています。課題はアプリケーション、そしてデータの移動の問題です。ポータブルなライセンス制度も含めて問題を考えなければなりません。

 たとえば、Amazon Web Services(AWS)にもベアメタルなサーバーがあります。オンプレミスで利用しているソフトウェアのライセンスをそこに持ち込んで使えなければなりません。AWSで使えるようになれば、キャパシティを心配する必要はなくなるでしょう。このようなポータビリティのあるライセンスになっていれば良いのですが、ソフトウェアのライセンスがデバイスに紐付いていると技術的には可能でも動かすことはできません。

 アプリケーションを移動させることは、たんにコンテナ化していれば良いわけではありません。データもネットワークもセキュリティも、新しい環境に移動させなければなりません。それらを移動できて初めてマルチクラウド、ハイブリッドクラウドが実現できるのです。

 実際にハイブリッドクラウドなりを実現するには、2つの環境で同じものが使えなければなりません。AWSでAmazon S3やAmazon RDS、Amazon EBSなどを使っているならば、それと同じものがオンプレミスにもなければなりません。さらに大変なのがデータの移動です。大量データの移動にはコストの問題もつきまといます。そのため、一度に大量のデータを移動するのではなく、アプリケーションが稼動している最中にパブリックとプライベートの間で継続的にレプリケーションをするといった対処が必要です。これを実現するには、クラウドベンダーがデータ同期のためのスマートなAPIを提供している必要があります。

 Nutanixでは、ハイブリッドクラウドを実現するために使えるさまざまなサービスを用意しています。たんに環境を接続するためのユーザーインターフェイスを用意するのではなく、その先にある機能をしっかりと構築し提供しているのです。

Q:ハイブリッドクラウドを実現する上で、Nutanixではクラウドベンダーごとに対応の差はありますか。

パンディ氏:我々はベアメタルサーバーの抽象化のところを重視しています。抽象化したベアメタルサーバーの上に、Nutanixを載せる戦略です。クラウドベンダーからプラットフォームを提供してもらい、Nutanixがアプリケーション側のサービスを提供します。これは顧客企業のプライベートクラウド環境で行っていることと、何ら変わりません。Nutanixとしては、クラウドベンダーごとに対応を変えるようなことはしません。AWSもAzureもGoogle Cloudにもベアメタルサーバーのサービスがあり、それらの上で同じNutanixのソフトウェアを動かしています。

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レガシーな環境から脱しようとしない保守的な考え方が競合になる

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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