
2019年に行ったさまざまな取材の中で、たびたび話題に上ったのが「人材不足」だった。デジタル変革のための人材がいない、データサイエンティストを採用したくても適した人材がそもそも転職市場にいない。また外資のビジネスが伸びているベンダーでは、エンジニアだけでなく製品マーケティングや広報担当などの人材についても、「誰かいい人を紹介して」と相談されることもしばしばだった。
地方都市のほうが優秀な人材を採用できるチャンスがある

インサイトテクノロジー プロダクト開発本部 インサイトラボ 副部長の松尾拓真氏
ITシステムの開発現場でも、当然ながらエンジニアが枯渇している。SI企業などにとってエンジニアの確保ができなければ死活問題に、エンジニアが足りなければ良い条件の案件があっても断らざるを得ない。IT製品ベンダーでは、早く品質の良いものを開発し市場に出したくても、それを実施するチーム編成ができずビジネスチャンスを失うこともある。結果、多くのITシステムの開発現場では、開発生産性の高い優秀なエンジニアにしわ寄せが行き、彼らをかなり疲弊させている。
特に都会では、競争が激しく求人を出してもなかなか優秀なエンジニアは採用できない。米国ではビジネスが上手く行っていないWeWorkも「おしゃれで先端的なWeWorkで仕事ができる」ことで、求人応募があるため日本では利用している企業が多いとも考えられる。
また開発、運用プラットフォームにAmazon Web Services(AWS)のクラウド環境を使っていることも、エンジニア採用には優位に働く。若手の優秀なエンジニアを採用したければ、その企業がAWSを使っていないと難しいとの声も聞こえるほどだ。給与や福利厚生などの待遇面だけでなく、エンジニアが仕事環境として何を求めているかを把握する。それができなければ、優秀なエンジニア採用は難しいのだ。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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