業務アプリケーションのクラウド化は、「共通語」整備なくしては語れない。
クラウドは「第3の手法」に過ぎない
「クラウド」という言い方が使われ出したのはごく最近である。いわゆる、SaaS(Software-as-a-Service)、PaaS(Platform-as-a-Service)などと呼ばれるサービスである。
これまで、企業のシステムの作り方は2通りだった。パッケージを買ってくるか、自分たちで作る(スクラッチ)か。スクラッチとパッケージはまったく異なる世界で、この両者をつなぐのは簡単ではない。
また、異なる手法や物理的に別々に作られたシステムが、データの一貫性、ビジネスプロセスの一貫性、そしてシステム活用の面で操作性(ユーザビリティ)の一貫性を困難にする。結果としてせっかくのIT投資がビジネス上の効果に思うように結びつかない、といった課題が指摘されてきた。
一方クラウドは、パッケージを買ってきたり、自分たちで作るのではなくて、外部からサービスを月額いくら(従量課金)でレンタルしてくるような感覚といえる。今後のIT業界のトレンドを考える上でクラウドが重要であることには間違いなく、事実、クラウドが盛んに喧伝されている。
「水道やガスのように、利用したい時に簡単に利用することができ、かつ停止することもできる。大きな初期投資が不要。IT資産を自社保有しないので保守・運用の手間が掛からない」など、クラウドがもたらすメリットは明確である。
しかし、システムの作り方、使い方という視点で見れば、今まで伝統的にあった「パッケージ」と「スクラッチ」が融合し始めており、そこに新たな第3の手法として外部サービスをレンタルするという考え方、すなわち「クラウド」が加わりつつある、という認識が正しいと考えている。
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福田 譲(フクダ ユズル)
SAPジャパン株式会社
バイスプレジデント
ビジネスプロセスプラットフォーム本部長
1997年にSAPジャパン株式会社入社。顧客担当として大手化学・素
材メーカー等へのERP(基幹業務統合パッケージ)を中核としたソリューション提案に従事、その後約10年間に渡って大手食品・消費...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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