DXに必須になるのが「データマネジメント」のスキル。そのバイブルともいえる本が、『データマネジメント知識体系ガイド「DAMA DMBOK」(ダーマ・ディーエムボック)』だ。データガバナンスを中心とした「DAMAホイール」と呼ばれるデータマネジメントの知識領域に加え、周囲の関連理論なども含めた17章で構成され、各章は「Why=ビジネス上取り組む意義、What=基礎知識、How=実践方法などが解説されている。発行されて以来3年、毎年版を重ねている本書のポイントを、日本版の編集を行うDAMA日本支部メンバーに聞いた。
世界的データマネジメント機関「DAMA」の日本支部

(中)DAMA日本支部 会長 木山靖史氏
(右)DAMA日本支部 副会長 宮治 徹氏
世界的なDXが進む中、データ活用のためのデータマネジメントへの関心が高まっている。そのニーズを受けて「DAMA(ダーマ) International(Data Management Association International)」の活動が活発化し、DAMA日本支部(DAMA-J)も急速に注目を集めている。そこで2022年11月に会長・副会長に就任した木山靖史氏、宮治 徹氏、そして情報伝達担当理事である吉村泰生氏に、分科会や研究会などの活動、そしてデータマネジメントに関する知識体系ガイド「DAMA DMBOK」(ダーマ・ディーエムボック)について伺った。
「DAMA」は、企業や業界などの壁を越えてデータマネジメントに関する理論と実践を促進することを目的として1980年に設立された非営利団体だ。全てボランティアによって運営されており、世界各国に90の支部、8,000名を越える会員を擁する。
年に1回開催される国際会議「Enterprise Data World」には、数十セッションに1,000人を越える参加者が世界各国から集まり、データマネジメントに関する様々な情報交換や議論が行われている。日本からも数名が登壇し、その一人である吉村氏は「業務系、IT系、データ系の人が混然となって1週間にわたってデータマネジメントを語り合う、非常にエキサイティングなイベント」と評し、「世界的にデータ活用への機運が高まっていることを肌で実感する」と語る。
コロナの影響でオンライン開催となった現在も、右肩上がりで参加者が増えており、DAMA認定の国際資格「CDMP」も認知度が高まってきた。また、データマネジメントに必要な知識体系をまとめた「DAMA DMBOK」を刊行し、最新版は2017年の2nd Editionとなっている。
近年になって、特にDAMAの活動が注目されるようになった理由として、木山氏は「企業におけるDXに伴ってデータの利活用が拡大・高度化していることが大きい。組織横断的なデータ蓄積・共有に加えて、セキュリティやガバナンス、非構造データの増大など、データマネジメントに関する課題が増えていることが背景にある」と分析し、「やや遅れているとはいえ日本も同様であり、2011年に設立したDAMA日本支部もデータマネジメント領域でのプレゼンスをいっそう高めていく必要がある」と語る。
木山氏は味の素で営業職を経た後に、データカタログやデータマネジメントに関わってきた。いわば「業務×データ」の視点を持つ「データのベテラン」だ。また副会長の宮治徹氏も、IBM在職時はアーキテクトとして活躍し、DBMSなどのプロジェクトにも関わるなど「IT×データ」を熟知する。また、ITコンサルとしてエンタープライズのメタデータ管理とデータ統合に取り組む吉村泰生氏など、DAMA-Jには、データに関するトップランナーが集う。現在は33の法人、約250人が参画し、右肩上がりで増えつつあるという。
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- この記事の著者
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伊藤真美(イトウ マミ)
フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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