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データマネジメント知識体系ガイド『DMBOK』入門

データマネジメントの要点とは? DMBOKの全体像をDX課題起点で読み解く

第2回:データマネジメント習得のための背景理解


 データマネジメントの習得・着手の必要性を感じているが、対象が広範囲であるため、どこから学び・どう取り組んでよいかが分からない、という声をしばしば耳にする。当連載では、効率のよい習得・着手のためのアプローチとして、各企業のDX課題とデータマネジメント/DMBOKの知識領域を紐づけた形での解説を試みる。今回(第2回)は、その前提としてのデータマネジメントの概要および企業のDX課題の説明を行う。

DMBOK データマネジメント知識体系ガイド(第二版)の読み方

DMBOK
DMBOK データマネジメント知識体系ガイド(第二版)

 DXやデータ利活用の進展とともに、「データマネジメント」という言葉を耳にすることが増えているでしょう。

 皆さんの所属企業にも、『DMBOK データマネジメント知識体系ガイド(第二版)[※1](以下DMBOK2と呼称)という分厚い書籍が置かれているのを目にしているかもしれません。

 しかしながら、「対象が広範囲で全体像が掴みづらい」「DMBOK2も分厚くてどこから読んでよいか分からない」「そもそも取り組み・習得の効果が疑問」という声も聞くことがあります。

 この記事では、そのような疑問に応えるためのアプロ―チとして、各企業が抱えるDXの課題と紐づけた形でのデータマネジメントの解説を試みます。読了後には、なぜいまDXの進展とともにデータマネジメントの注目度が上がっているのかについても、理解頂けるかと思います。

 当記事を通じてこの領域に興味を持った方は、是非DMBOK2の読み解きにチャレンジしてみてください。また最近は日本においてもデータマネジメントの解説書が出始めていますので、興味を持たれた方はそれらの書籍にもあたるのも良いでしょう。

[※1]『DMBOK データマネジメント知識体系ガイド(第二版)』(著:DAMA International/発行:日経BP  Amazon

 データマネジメントに関する知識体系(Body Of Knowledge)を示した、この領域を習得する上での基本となる書籍。原著は2017年に、日本語版は2018年に刊行されています。なお筆者が所属し、DMBOK2日本語版の監訳を行った「DAMA(データマネジメント協会)日本支部」へのインタビューについては 前回記事をご覧ください。

データマネジメントとは何か

 まずデータマネジメントの定義についておさらいしておきましょう。

 DMBOK2の第1章(データマネジメント)ではこう記載されています。

 データマネジメントとは、データとインフォメーションという資産の価値を提供し、管理し、守り、高めるために、それらのライフサイクルを通して計画、方針、スケジュール、手順などを開発、実施、監督することである。

 ここではまず「データとインフォメーションは資産である」と書かれている点に注目してください。

 すなわち工場-情報システム-金融資産などと同様にデータとインフォメーションも企業における資産です。従い、その価値を高め・守るための活動が必要だということです。

 資産であるだけでなく、日常業務の遂行に不可欠な情報の流通を担う「通貨」「生命線(血液-Life Blood)」「新しい原油」とも記載されています。(DMBOK内でも言及がありますが、「Data is the new oil」で検索すると興味深い記事が多数見つかります)

 その資産および血液を確かなものに保つ活動が必要になる、それがデータマネジメントだということです。

 もう1点、データマネジメントとは何かを示す特徴的な記述を載せておきましょう。

 データ、インフォメーション、ナレッジ、ウィズダムという順を追って記述した場合、最初にデータを生成するナレッジが必要であることに気付かない

※引用『データマネジメント知識体系ガイド 第二版』

 前半部分のデータからウィズダム(叡智)を得るまでの流れについては、「DIKW Pyramid」と呼ばれる図をご覧になったことがあるかもしれません。

図:DIKW Pyramid 出典:wikipedia
図:DIKW Pyramid 出典:Wikipedia

 この図は、生のデータから情報を抽出し、知識として体系化し、さらに知恵へと昇華させる段階を説明したものです。

 さらに興味のある方は、「Data, Information - David Somerville」とイラスト作成者の名前含めて画像検索して頂くと、シンプルながら非常に雄弁なイラストを見ることができます。データの活用により価値が得られる事が端的に理解できると思います。

 しかしながら上記DMBOK引用において強調されているのは、それら段階の云々ではなく、「最初にデータを生成するナレッジが必要」と言うことです。生成されるデータにおいては、少なくとも 「そのデータが何であるかが定義され、後工程で使いやすい形で保管されている」必要があります。その点をカバーするのがデータマネジメントです。その部分が備わって初めて、この価値を得る各段階の1歩目を踏み出すことが出来るのです。

次のページ
データマネジメントがなぜ必要か、企業が直面する問題の例

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この記事の著者

吉村 泰生(ヨシムラタイセイ)

DAMA日本支部 理事 /KPMGコンサルティング シニアマネージャ

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/17915 2023/06/29 15:38

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