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「次世代データマネジメント」推進に向けたデータアーキテクチャを探る

「分散型のデータアーキテクチャ」がトレンドに──「EDW」の限界を前にデータアーキテクチャを再考する

【第2回】エンタープライズ・データウェアハウスの限界? 今後求められるデータアーキテクチャとは

 人工知能(AI)やIoTなど、テクノロジーの発展とともにビジネスが成長するにつれ、データは複雑化。そこに係る課題が解消できない状況は依然として続いている。現在、データはあらゆるビジネスの生命線となっており、強固なデータアーキテクチャがなければビジネスは存続できない状態だ。今回は、データサイロ化やブラックボックス化、煩雑化といったデータ課題を解決するためには、データアーキテクチャをどのように整備していくべきか。データアーキテクチャのトレンドを交えて考察していく。

前回の記事は以下からお読みいただけます。

迅速にデータを利活用できないリスクは高まるばかり

 ここ数年、デジタルによるパラダイムシフトが起きている。企業にはこれまでにないスピードで変革が求められており、「データドリブン」の取り組みは避けて通れない状況になりつつある。企業の競争力を高めていくためには、データに強みを持つ企業だけではなく、あらゆる業界でデータ分析業務をコア業務に組み込み、データから得た洞察(インサイト)を基にビジネスを再定義することで、新たな道を切り拓くことが求められる。

 このためには、ビジネスとデータをシームレスにつなげることが重要であり、以下のような環境整備が必要だ。

  • 変革すべきビジネスにあわせ、データ生成から利活用までをシームレスに実行できる環境
  • 新たなテクノロジーによって発生したデータを迅速に利用できる環境
  • 「管理しているデータ」と「ビジネスの洞察力」を結びつけることのできる環境
  • ビジネスの変化に強い「データモデル」を提供できる環境

 デジタルを活用することが前提の時代において、データサイロ化、ブラックボックス化、データの煩雑化といった課題により、データをシームレスに使えない状況に陥っている企業は、競合他社や新興企業に対する迅速性という観点からも“致命的なリスク”を抱えていることと同義だ。このようなリスクを回避するためには、最適なデータアーキテクチャを描き、実行しなければならない。

データに係る課題対応は不十分 欠かせない「データアーキテクチャ」の見直し

 しかし、多くの企業は「データドリブンが重要である」と理解しているものの、データに係る課題への対応が十二分にできておらず、シームレスに利用できる状況になっているとは言えない。たとえば、下記は企業の困りごととしてよく聞く話である。

  • 各システムのデータ定義がバラバラなため、データを統合することで迅速なデータ利活用を目指した。しかしながら、データ統合は難しく、長期的な取り組みになってしまった上に、思ったような形でデータが整理できていない、もしくは頓挫してしまった
  • ブラックボックス化、データの煩雑化を引き起こしているレガシーシステムを廃棄し、新たなシステムへの移行に取り組んだが、データの問題から一部機能しか移行できずにレガシーシステムは残置。データが複雑化・サイロ化する状況が続いている
  • データ利活用を促進するために新たなデータ活用基盤を構築したが、既存のデータ活用基盤を利用しているユーザーが多く、移行が進まなかった。そのため複数のデータ活用基盤を管理することになり、基盤同士の連携も複雑化してしまい、結果としてデータのサイロ化を助長させてしまった

 これらの発生要因はさまざま考えられるが、共通して言えることは「データの本質を理解しないままデータ基盤を構築した結果、管理すべきデータに対して適切な対応ができない状況に陥っている」ということである。

 では、なぜこのようなことが起きてしまうのか。背景には、企業文化、ヒト・組織、アプローチ、システム開発プロジェクト、ルールや管理プロセスなどに根差した問題があると考えられるが、総合的に見たときには「自社に最適なデータアーキテクチャを採用できていない」ことが大きな要因だと言えるだろう。だからこそ、データアーキテクチャの見直しから進めなければならない。

次のページ
「データアーキテクチャ」とは何か 今一度考えなおす

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「次世代データマネジメント」推進に向けたデータアーキテクチャを探る連載記事一覧

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この記事の著者

小林 靖典(コバヤシ ヤスノリ)

株式会社クニエ シニアマネージャー
ITコンサルタントとして、システム企画、提案依頼書策定、要件定義分野から、データマネジメント/データガバナンス(データアーキテクチャ、MDM、データHUB、DL/DWH/BI、メタデータ管理、データ品質管理、データガバナンス組織構築、制度策定など)の分野で多数の実績を有...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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