注目高まる「iPaaS/BPaaS」にも課題残る
このような状況を受けて、複数のシステムを管理するためのサービスや仕組みが昨今増えている。代表的なのは、iPaaS(Integration Platform as a Service)[1]やBPaaS(Business Process as a Service)[2]だ。
これらのように乱立したシステムをまとめて管理しようとする動きが、当たり前となってきた。しかし、便利なサービスが増える一方、こうした仕組みが認知されていないことによる「システム利用の現状維持」、それによる「追加コスト」が発生しているのが現況だ。
また、現在利用しているシステムとの「連携工数」「連携項目」に限界が生じているなど、課題も少なくない。このような観点を鑑みても、中長期的に運用ができるのか懐疑的な見方もある。
だからこそ、業務効率化を目的に導入したSaaSだが、情報やアカウントのメンテナンスに負荷もかかっていることが実態だ。当社調べ[3]では、SaaS導入による課題として、「従業員の入退社にともなう、各システムのアカウント発行/変更の必要性」「各システムの契約更新に関する管理の煩雑性」などが挙げられており、IT・情報システム部門の担当者は顕在的な課題を抱えていることがわかる。
このように、利用するHR SaaSの管理業務に課題を感じている担当者が多く存在する中、より付加価値の高い業務に取り組めるようにしていかなければ、ITシステムを活用した「真の業務改革」は成しえないだろう。
[1] 複数のクラウドサービスやオンプレミス等で管理されている独立化したデータを一元的に連携するためのソリューション(参考:「iPaaSとは? 機能やメリット、活用事例を紹介」〔NTTコミュニケーションズ株式会社〕)
[2] 特定の業務プロセスを外部企業にアウトソーシングできるクラウドサービス(参考:HRペディア「人事辞典」より「BPaaS(Business Process as a Service」〔日本の人事部〕)
[3] jinjer株式会社「クラウドシステムとiPaaSに関する実態調査」(向井浩一郎、2024年3月29日)