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1,500超の事例からひも解くデータマネジメント「4つの軸」 効果的なAI活用のカギは

“AI戦国時代”に勝利をつかむには? 「高品質なデータ」を整備する手法を明かす

国内外40拠点でバラバラだったデータ管理体制……ルール策定の道筋

 続いて沖崎氏は、データ品質に関する2つの事例を紹介した。1つ目は、とある製造会社の事例である。その企業では、現場で自由にマスタデータを登録していたことで、重複が発生したり、色の表記がバラバラだったりする課題があった。また、データ活用推進のために目指すべき形は見えていたものの、どこから着手すればよいかわからない状況だったという。

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 そこでNTTデータ バリュー・エンジニアは、問題の特定を進めるために、データの中身を確認。顧客が把握しきれていない問題点を洗い出し、打ち手を検討した。具体的には、定義書や業務マニュアルなどのドキュメントを確認したり、現場担当者へのヒアリングを行ったり、データの中身を詳細に確認したりしたとのことだ。

 「定義書や業務マニュアルといったドキュメント類が適切に更新されておらず、実データの内容に合っていないケースが多く見受けられます。これに対して、データの中身を確認するなど、ファクトベースで実態を把握することで、顧客が把握しきれていなかった、現行データの問題点とその原因を洗い出します」と沖崎氏。この事例では、洗い出したデータの問題ごとにクレンジングの方針を策定し、同じものに対して正しいデータが入るようクレンジングの処理を実施した。このように、データだけ、ドキュメント類だけ、業務だけを見るのではなく、すべてを包括して確認することで、継続してデータ品質を維持できるようになるのだという。

 2つ目は、国内外に40拠点を持つ化学メーカーの事例だ。その企業は、拠点ごとにニーズが異なるため、独自のデータ管理ルールで運用していたが、全社的なデータ活用を推進するために、組織横断のデータ管理方針を策定する必要があった。NTTデータ バリュー・エンジニアはこのような状況から、全社共通で永続的なデータ品質を維持管理できるデータ管理方針の策定を支援したという。まず、各拠点で管理しているデータの粒度や品質基準を把握するために、データアセスメントを実施。そこから、顧客と検討を重ね、全社的なデータ運用ルールの策定へとつなげている。

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 それらが達成できた後は、運用フローの定着化を進めるフェーズ。「ここが非常に大変だった部分です」と沖崎氏は語る。国内外の40ヵ所の拠点から、ルールを正しく反映できているか確認する問い合わせが五月雨式にやってくるからだ。これに対して、同社が回答ノウハウを蓄積し、問い合わせ対応をほぼ定常化するところまで支援することで、今では顧客が自ら運用できるようになっている。

データマネジメントを成功させる、2つのポイント

 「ビジネスに合った適切なデータ品質の見定め」と「継続可能なデータマネジメント活動」の2軸が機能しなければ、データ品質の改善にはつながらない。では、実際にデータマネジメント活動を実践するためには、どうすればいいのか。

 データマネジメント活動のフレームワークとして有名なDAMAホイールを見ても、検討領域は幅広く、すべてを実施するのは困難だ。そのため、企業ごとに何をどこから着手するか見定めることがポイントとなる。

 今回、沖崎氏はNTTデータ バリュー・エンジニアが提案するデータマネジメント支援の中から「企画倒れしない」「永続的な活動とする」という2つのポイントを紹介した。

 まず同氏は、「企画倒れしない」という観点から、データマネジメント活動を立ち上げる際に必要な“4つの視点”を説明した。それは、「仲間作り」「企画提案タイミング」「打ち手のたしからしさ」「持続的な活動のための整備」だ。

 「これらのポイントを押さえることで、プロジェクトを力強く推進することができます」(沖崎氏)

  • 仲間作り:データマネジメントの価値や必要性を理解してもらい、部門を超えた組織的な推進チームを作ることで、データ活用の推進を目指せるようにする
  • 企画提案タイミング:データマネジメント単独では効果の可視化が難しいため、データ基盤の導入やシステム刷新とセットでデータマネジメント活動を企画したほうが、上層部の理解を得やすい
  • 打ち手のたしからしさ:データアセスメントを行い、現状データの状態を正確に把握することが重要。データアセスメント結果をベースに、求めるデータ品質基準の検討や、必要な手立てを効果的に計画することができる
  • 持続的な活動のための整備:ビジネスは変化するため、必要とされるデータの品質も変化する。そこで、定期的に品質を測定し見直すことも事前に考慮することが重要

 続けて沖崎氏は、データマネジメント活動を「永続的な活動とする」ためのポイントを紹介。以下の4点を挙げた。

  • 活動ガイドラインの策定:各社の風土・実態・実績にあわせた運用ルールを作成する必要がある。同社ではテンプレートを用意しており、それを用いることで顧客の要望に応じたルールを効率的に作成できる
  • 活動のための体制と役割の明確化:役割と責任を明確にし、組織的な営みにすることが重要。同社では、データマネジメント活動の役割に対し、それぞれの役割がどの部門に当てはまるかの整理もサポートする
  • データ活用教育:データマネジメント活動は、データ活用の推進、拡大を支えるもので、データ活用の普及・啓発活動も永続性を持たせるために重要。成果や成功事例を部門間で共有することも非常に有効
  • データ活用を見据えた環境整備:データ統合ツールやMDMツールなどを有効活用できる環境を整えることが必要。同社では、ツール選定のアドバイスが行える

 「“AI戦国時代”のデータ活用を支えるには、基礎となるデータ品質を高めていく必要があります。データ品質を高めるには、永続的にデータを維持管理する『データマネジメント活動』が重要です」(沖崎氏)

次のページ
データマネジメントを推進する独自のフレームワークとは?

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社NTTデータ バリューエンジニア

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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