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Data Tech 2024 レポート

“生成AIの民主化”に挑むソニーグループ 数万人規模のAI活用環境、構築の道程とビジネス適用の裏側

瞬間風速的な活用にとどまらせない、継続的な生成AI活用環境を構築するポイントとは

 ソニーグループでは、2023年8月からグループ全体に「Enterprise LLM」環境を展開し、全社員が生成AIを利用できる“民主化”の実現に取り組んでいる。2024年11月21日に開催された「Data Tech 2024」では、「ソニーグループにおける生成AIの社内活用と今後の展望」と題して、エンタープライズ規模での生成AI環境の実現に向け、ベクトルデータベースを活用したRAGの検証など、具体的な課題解決に向けた取り組みが紹介された。

「AI実践力の底上げ」へ 2万6000人の社員が生成AIを活用

 ソニーグループでは、生成AIを「どの事業にも影響を与える重要な技術」と捉え、2023年8月から本格的な活用を推進しているという。

 「生成AIは、インターネットやクラウドに匹敵する技術革新であり、創造性と生産性向上に貢献する可能性を秘めています」と語るのは、同グループでITやDX、セキュリティやAIといった先端技術などのガバナンスを統括する大場正博氏だ。大場氏のチームは約30名で活動しており、その内訳は、CoEとして社員の生成AIに対する理解醸成を推進するメンバーが半数以上だという。それ以外は技術メンバーで、大半は新技術の調査や検証を実行。2〜3名で開発を行っているとのことだ。また、USやEUにもメンバーを配置している。

ソニーグループ株式会社 デジタル&テクノロジープラットフォーム 統合戦略部門

グループフェデレーテッドガバナンス部 統括部長 大場正博氏

 生成AIには、自然言語での取り扱いが可能な点や、直感的に操作できる点など、インターフェースとしての能力の高さがある。しかし、同時にリスクもあわせ持つ。全社員がその両側面を理解し、適切に活用することで、競争力強化につながると大場氏は語る。そのため、同グループでは生成AIの民主化を経営課題と捉え、経営陣とともに施策を推進しているのだという。

 「AI実践力の底上げこそが、生成AIの民主化の狙いです」と大場氏。同氏は、生成AIの民主化について「ソニーグループの誰もが、生成AIへの可能性とリスクを実践により理解し、使いこなせる状態にあること」だと述べる。それを実現すべく、同グループで推進しているのが「AI民主化スタック」だ。AI民主化スタックは、全社員が安心して生成AIを利用できるプラットフォームやガードレール、啓発コンテンツや最新情報の提供などで構成される。各スタックにKPIを設定し、グループ全体の生成AIの民主化と、ビジネス適応の加速を進めているとのことだ。

 そして、生成AIの民主化の中核にあるのが「Enterprise LLM」だ。これは、生成AIの実践の場としてグループグローバルに展開されている、チャットタイプの内製アプリケーション。既に、グループ内の135社[1]、2万6000人[2]が日々の業務でアクティブに生成AIを活用している(2024年11月21日時点)。

 また、「Playground」というビジネス活動を評価する環境も用意しているという。Enterprise LLMはシンプルな構成で誰もが使いやすい一方、柔軟性には欠けると大場氏。Playgroundは、あらゆるLLMの設定を自由にカスタマイズでき、業務要件に合わせたAIワークフロー、RAG機能を簡単に構築できる。同環境で、少なくとも150件のPoCを実施し、30件近くが実ビジネスで活用されているとのことだ(2024年11月21日時点)。

 このように、ソニーグループは今「いかに生成AIを活用するか」という段階にシフトしている。その上で、最も重要なのが“データ活用”だと大場氏は強調した。

[1]2024年12月時点では、170社(提供:ソニーグループ)

[2]2024年12月時点では、3万5000人(提供:ソニーグループ)

次のページ
“誰でも使える”点を重視した、Enterprise LLMの特徴とは

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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