サステナ情報開示義務化の“対応遅れ”が浮き彫りに
booost technologiesは2024年11月、東証プライム上場企業の経営者やサステナビリティ担当者、一般社員を対象にSX推進に関する調査を実施。その結果、全社体制と業務レベル、それぞれの課題が浮き彫りになりました。

サステナビリティ情報の開示義務化にあたって、多くの企業で着手が遅れており、その危機感も不足しているため、このままでは企業価値の低下につながってしまう懸念があります。そのため当社では「サステナビリティ2026問題」と独自に定義し、2026年までにサステナビリティデータを経営へ利活用できる体制を構築することの重要性を提唱しています。
サステナビリティ情報開示義務化への対応や、その先のSX実現にあたって、まず理解すべきなのは「任意開示」ではなく「制度開示」である点です。
制度開示の場合、サステナビリティ情報は有価証券報告書に記載され、投資家や評価機関の判断材料になります。自社事業の社会に与えるインパクトの大きさはもちろん、開示情報が企業理念やミッション、中期経営計画、各種KPIと一貫性があるかという点についても注目されます。
従来は、サステナビリティ部門が独自に情報をまとめ、経営情報とは直接的に関係のない見せ方の発信でも、それほど大きな問題はありませんでした。しかし今後、財務情報と同様に、経営戦略や経営判断と矛盾なく一体のものとして情報発信することが求められます。そのためには、経営層はもちろん、IR、財務、経理など複数部署が連携をしなければなりません。

加えて、コーポレート部門だけでなく各事業部門との連携も必要です。たとえば、製造業を営む企業の場合、自社で製造する製品の信頼性の高いサステナビリティ情報を収集するためには、部品ごとに原材料や各製造工程に遡り一つずつ算出をすることが求められるため、各事業部との連携は不可欠です。
必要十分なサステナビリティ情報の開示が実現できない場合は、株主・投資家を含めステークホルダーの信頼を喪失し企業価値の低下につながります。一方で、信頼性の高いサステナビリティ情報の開示は、持続的な企業価値向上を実現するチャンスとも言えます。