NECは、森永乳業にNECの独自AI技術を活用した「NEC Advanced-S&OP ソリューション」の1つである、「Advanced-S&OP 新製品需要予測ソリューション」を提供した。
両社は、2024年10月から12月の約3ヵ月間、森永乳業のアイスカテゴリーにおいて同ソリューションを活用し、過去に発売された新製品需要予測の実証実験を実施。取引先との商談結果から得る営業担当情報をもとに立てた、需給業務担当者の計画とほぼ同等精度の需要予測結果を確認したという。今後、データ整理と継続的な分析を行うことで予測精度の向上が期待されることから、新製品発売時の需要予測として有効性があることを評価され、提供に至ったとしている。
Advanced-S&OP 新製品需要予測ソリューションは、独自のAI技術と、データ分析プロフェッショナルの分析知見、SCMおよびS&OP領域のプロフェッショナルの業務知見を組み合わせているという。同ソリューションでは、従来手法よりも早い段階での新製品需要予測を可能にし、需要と供給の最適化を図る。さらに、データサイエンスに基づいた根拠のある予測により、各種ステークホルダーとのコミュニケーションの円滑化とさらなる需要創出に向けた戦略立案の高度化を支援するとのことだ。
実証実験の概要
今回は「新製品需要予測を行う際に参考とする既存製品(以下、ベンチマーク製品)の選定」と「ベンチマーク製品と新製品の情報の差に基づいた需要予測」の2つの作業において、AIを活用した実証実験を実施したという。
- ベンチマーク製品の選定:10点の異なる新製品を題材に、需要を見込む際に考慮すべき商品の販売価格、発売季節、販売チャネル、マーケティング施策の観点を学習させたAIが各新製品に対するベンチマーク製品を選定
- ベンチマーク製品と新製品の情報の差に基づいた需要予測:ベンチマーク製品の売上実績とマーケティング施策などの因果関係をAIがモデル化し、新製品の情報や計画値を使って販売開始から3ヵ月間の需要を予測。今回はこの3ヵ月間の需要予測結果をもとに、発売から1年間および月次の需要予測も実施
![[画像クリックで拡大]](http://ez-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/21788/1.jpg)
実証実験の成果
- 従来、人手で行っていたベンチマーク製品の選定において、重視している販売チャネルや商品ブランド、取引先といった40種類以上の要素とそれぞれの重要度を特定し、モデル化。10点の異なる新製品を題材に、それぞれに対するベンチマーク商品をAIで選定。その結果、人が選定したベンチマーク製品に対し、9割の確率で同様の商品をAIが選定。また、このベンチマーク製品の需要の因果関係をAIがモデル化し、人とほぼ同等精度の需要予測を実現
- 3ヵ月間の需要予測結果をもとにした、1年間および月次の需要予測結果について、原材料の調達や中長期的な生産の過不足の調整計画、事業計画および予算達成に向けた現状分析と評価などでの活用を想定した結果、有用性を確認
【関連記事】
・博報堂DYホールディングス「統計合成データ」の有用性をAcompanyと実証、AI学習データに活用へ
・インフォマティカ、CLAIRE CopilotなどAIテクノロジーのラインアップ拡充
・システム開発のレビューを生成AIで効率化、ノウハウの形式知化が可能に──セイコーソリューションズ