セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は4月8日、2025年度のアライアンス戦略とAgentExchangeの国内提供開始を発表した。
同日に開催された説明会では、同社 専務執行役員 アライアンス事業統括本部 統括本部長 浦野敦資氏が登壇。2026年度のパートナービジネス戦略から説明を始め、大きな方針として「Agentforceビジネスの加速」「単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームによるビジネス拡大」「新規市場開拓の推進」の3つを示した。

戦略1:Agentforceビジネスの加速
Agentforceを発表してからこの数ヵ月で、パートナー企業との取り組みは大きく前進しているという。具体的には、パートナー自身にAgentforceを活用してもらうことで、約50社の支援パートナーを育成。Agentforce資格認定者数は現在1,400名以上にのぼるとしている。
このようなパートナー企業におけるAgentforceの活用事例として富士通の事例が紹介された。富士通は、Salesforceに関する問い合わせ対応にAgentforceを活用している。かねてより利用していたEinstein Botでは顧客とのやり取りが8回必要だったのに対し、Agentforceでは1回で対応可能となり、業務効率化に効果が出ているという。
また、SalesforceはパートナーとともにAgentforceビジネスを加速するべく、AgentforceのGo to Marketを担当する組織(Agentforce GTM組織)を設立し、パートナー各社に支援プログラムを提供している。この支援プログラムをさらに強化し、パートナーに提供することで、資格認定者数3000人を目指すという。具体的な支援プログラムの内容は以下の通り。
- 資格取得支援
- トレーニング
- 技術者ネットワーク
- 商談発掘支援
- 提案コンテンツ/リソース
戦略2:単一のアーキテクチャ上に統合されたプラットフォームによるビジネス拡大
浦野氏は「データ/アプリ/エージェントのすべてをプラットフォーム上にもっていることに対する我々の価値を顧客に感じてもらうためには、業務アプリケーションを上手く活用いただいていることが重要なポイントとなる。そのために、顧客に対して『Salesforce Customer 360』のアプリケーションをマルチクラウドで提案してもらうため、パートナー企業に対する支援を行っていきたい」と説明する。
また、2024年に日本でも提供を開始した企業がもつデータをSalesforceのSalesforce Platform上に集約・統合するデータプラットフォーム「Salesforce Data Cloud」にも言及。「これがAIエージェント活用において非常に重要な機能になるため、ノウハウを蓄積することでより品質の高い提案を行っていきたい」とした。
戦略3:新規市場開拓の推進
2024年に引き続き、地域/銀行関連事業者との協業を加速させていくとした。特に地方では様々な業種業態の企業においてSalesforceソリューションの採用が進んでおり、なかには自社で作った“地域発のソリューション”を全国に展開するための取り組みを始めている企業もいるという。また銀行に関しては「特に中堅企業、関西市場に注力していきたい」と浦野氏。
加えて、OEMによる販路拡大にも注力していくという。具体的には、システムインテグレーション企業が提供する特定の業務に特化したアプリケーションソフトをクラウド化し、Salesforceのエンタープライズ向けクラウドマーケットプレイス「Salesforce AppExchange(以下、AppExchange)」にて提供することで、自社だけではアプローチできていないマーケットへ販路を拡大することができるとしている。
続いて、Salesforce アライアンス事業統括本部 グローバルテクノロジーパートナー本部 本部長 鈴木千尋氏がAgentExchangeの国内提供に関して詳細を説明した。

AgentExchangeは、AppExchangeを基盤に、Salesforceのデジタル労働力を生み出すプラットフォームであるAgentforceの機能とエコシステムをさらに拡張させたもの。パートナー企業によって事前構築されたAgentforceからニーズにあったものを探し出し、業務に展開できるマーケットプレイスだとしている。鈴木氏は「2026年度には、AppExchangeに対応した20のサービスを日本からリリースすることを目指している」という。
さらに、AgentExchangeに関するAgentforceの機能アップデートもいくつか行ったことで、パートナー企業がソリューションをパッケージ化して配布できる範囲が拡大したことも発表した。
具体的には、単独のアクションを人に代わって実行するAgentforceだけでなく、複数のアクションを統合して、一定の役割を実行する基本セットを顧客に対して提供できるようになったという。また4月中には「Agentテンプレート」も提供予定だとし、メタデータなどもパッケージに含めることができるようになると説明。実質的にAgentforce全体を事前設定済みのパッケージソリューションという形で提供できるようになるとしている。
鈴木氏は「グローバルでは既に200を超えるパートナー企業がAgentExchange向けのソリューション構築を既に始めている。日本では15社のパートナー企業が選考して取り組みを進めているところだ」と実績を述べる。
さらに、AgentExchangeではGo To Marketのモデルも新しいものに変えるという。鈴木氏は「従来のAppExchangeにおけるSaaS販売モデルも維持するが、当社がAgentforceをコンサンプションモデルで提供しようとしていることから、AgentExchangeもその特性にあわせた販売モデルを確立していく」と話す。
最後に鈴木氏は、AgentforceのOEM提供に関して、グローバルでパイロットが提供されていることを述べ、「我々にとってホワイトスペースになっている市場に対してもアプローチしていくための足掛かりになる」と説明し、説明を締めくくった。