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カプコンが“AAAタイトル”を支える共通基盤に「TiDB」を選んだ理由 無停止基盤のつくりかたとは

「メンテナンスによる停止」「シャーディング」からの脱却

2時間で完了したデータ移行 46%のコスト削減効果

 データ移行とリプレースにおいて、当初はDM(Data Migration)機能がManagedサービスとしてリリースされていなかったため、DumplingとImportツールが利用された。データ移行方法としては、まずDumplingでAuroraからデータを取得してS3にアップロード、TiDB Cloud Dedicatedクラスターにスキーマを作成し、その後TiDB CloudのImport機能でTiDB Cloud Dedicatedに反映するという流れだ。

[画像クリックで拡大]

 移行検証では、スキーマの作成・更新の状況によってAuroraとTiDBでテーブルのカラムの並び順が異なり、プライマリーキーやユニークキーの重複エラーが発生する問題に直面。これはDumplingのデフォルト設定では、カラム名なしでデータが出力されるためであり、解決のためDumpling使用時に「--complete-insert」オプションを付与してカラム名を含めることで、この問題を回避している。

 実際のリプレース作業は、データ移行を含め約2時間で完了した。成功した最大の要因は、本番環境を想定したリプレース手順の作成、開発などの各環境での本番環境のリプレースを想定したリハーサルを繰り返し、さらに本番直前でのデータ移行テストによる最終確認と必要時間の算出にあった。

 運用面では、TiDBとTiKVのCPUが70%を超えると、パフォーマンスが劣化する傾向があることが性能試験で判明。TiKVでは、データリバランス時にコミットの遅延が発生することもあった。TiKVは、8コアよりも16コアのインスタンスのほうが性能は良かったとして、コスト効率の観点からは8コアが良いものの、カプコンでは16コアを優先して利用する方針とした。TiDBやTiKVのCPU使用率が70%を超えた場合には、TiDBはスケールアウト、TiKVはスケールアップするようにしているという。

 また、オペレーションの比較において、TiDBはオンラインでの変更をサポートしているものの、負荷が高い状況では構成変更にリスクがともなう可能性があり、メンテナンスによる停止が必要な場合もあるとカプコンは考察している。そのため、負荷が高くなる前に対応することや、監視体制の強化が重要だとした。特にバージョンアップに関しては、PingCAPへのサポート依頼が必要なため、早めの調整を推奨する。

 Aurora MySQL利用時は、スペック変更にともなうシステム停止を避けるため、一つ上のスペックを採用していたが、TiDBへの移行でスペック変更が容易になったことでコストの最適化と削減を実現。リプレース直後には、あるマイクロサービスで46%のコストカットを達成したという。

 さらに非本番環境では、ステージング環境のみ本番と同じDedicated構成を採用し、それ以外の開発・QA環境などではTiDB Cloud Stater(旧:TiDB Cloud Serverless)を活用することで、想定よりも安価な運用を実現。「TiDB Cloud Starterは5台まで無償枠があるため、これを活用することでさらに費用を抑えられる可能性もある」と福井氏は述べる。

「メンテナンスを意識しない環境」が最大の成果

 TiDBの導入は、メンテナンスを意識せず作業ができるようになった点が最大の成果だったと福井氏は振り返る。2024年9月から2025年5月までの間、本番環境で10回の構成変更やアップグレード作業があったが、これらはすべてメンテナンスを回避して“オンラインのまま”実施された。また、クエリによってプライマリとレプリカを切り替える必要がなくなったため、開発も簡素化されている。

 もちろん、今も模索している点もある。たとえば、TiDBノードが多い場合、スペック変更に時間がかかる(ローリングで1台ずつ変更されるため、3〜4時間待つ必要がある)ことも、その一つだ。回避策としてノードを1台に減らして変更する方法もあるが、これは負荷試験環境など限定的な状況でのみ可能だという。

会場では多くの聴講者が講演に耳を傾けた
会場では多くの聴講者が講演に耳を傾けた

 講演の最後には、福井氏からPingCAPに対して、TiDB Cloud DedicatedとTiDB Cloud Starterの中間的な製品の提供、Terraform APIの機能拡張(よりきめ細やかな権限設定、Starterインスタンス作成台数の上限撤廃、スペック変更対応)、サードパーティ製監視ツールとの連携強化、TiDB Cloud StarterへのDB監査ログ機能の追加、コンソール監査ログの自動アップロード機能などが要望として挙げられた。

 こうした要望を認識しているとして、林氏はPingCAPが今後も積極的に改善に取り組んでいくとして締めくくった。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:PingCAP株式会社

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